
洗練された18Kピンクゴールドのケースと繊細なミラネーゼリンクブレスレットが組み合わさった優美な時計が、ジャガー・ルクルトから登場しました。90年以上の歴史を持つアイコニックモデル「レベルソ」の新たな解釈となる「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」は、クラシックな魂と現代的な洗練を見事に融合させています。
文/土田貴史
実用から芸術へ、レベルソ90余年の軌跡
1931年に誕生したレベルソは、当初「スポーツ・ジェントルマン」のために設計された実用的なタイムピースでした。インドでポロに興じていたイギリス統治時代の軍将校たちが、競技中の衝撃に耐えられる時計を求めたことがきっかけです。その答えとして誕生したのが、革新的な反転式ケースを備えたレベルソでした。

この特許取得済みの反転機構(歴史的特許CH159982)により、プレイヤーは試合中に文字盤を裏返して保護することができました。しかし、実用性を追求したこの機能美は、たちまちファッションアイコンとしての地位を確立。男性だけでなく女性からも支持され、多様なバリエーションが生み出されていきました。
さて、新作の魅力を際立たせているのが、18Kピンクゴールド製のミラネーゼリンクブレスレットです。2本の金属糸が絡み合い小さなリンクが二重になった緻密な構造は、まるで金属の布のような質感を生み出しています。
その起源は13世紀のイタリア・ミラノまでさかのぼり、当初は鎖帷子(くさりかたびら)として使われていました。やがてルネサンス期の金細工職人たちが宝飾用の貴金属版を開発したものの、長らくイタリア国外では知られることがなかったのです。1920年代にドイツのジュエラーがこの技法を習得し世界的に広まると、1970年代には時計ブレスレットとして流行。現代でも、そのスポーティかつエレガントな魅力が注目されています。
新作レベルソでは、一本のブレスレットを作るために16メートル以上のピンクゴールドの糸が用いられ、最大限の柔軟性を確保するために途切れることなく編み込まれています。リンクごとに手作業ではんだ付けされた構造は、優れた耐久性と快適な装着感を両立しています。

グレイン仕上げが施されたゴールドカラーのダイアルは、ケースとブレスレットのポリッシュ仕上げとの対比が美しいです。直線的なインデックスとドーフィン針が視覚的な奥行きを演出し、6時位置に配されたスモールセコンドは、直線的なデザインに丸みのアクセントを加えています。
厚さわずか7.56mmのケースには、42時間のパワーリザーブを誇る手巻きキャリバー822を搭載。すべての設計、製造、組み立てをマニュファクチュール内で行うジャガー・ルクルトの卓越した技術が活かされています。そして反転式ケースの裏側は、エングレービングやラッカー仕上げなどで自由にカスタマイズすることも可能です。
スポーティでありながらエレガント、コンテンポラリーでありながらレトロ、相反する要素を絶妙なバランスで融合させたこの新作は、常に時代とともに進化しながらも本質を失わないレベルソの真髄を体現しています。

自社製手巻きムーブメント、パワーリザーブ42時間、18Kピンクゴールドケース(45.6×27.4mm、厚さ7.56mm)、18Kピンクゴールド製ミラネーゼリンクブレスレット、3気圧防水、642万4000円。問い合わせ先/ジャガー・ルクルトTel.0120-79-1833
https://www.jaeger-lecoultre.com