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江戸時代の人々の装いは、身分や年齢、職業などによって異なっていました。

浮世絵でも豪華な髪飾りや趣向を凝らした衣装をまとう花魁、花柄や明るい色味でコーディネートした町娘、簪や半襟などの小物使いが洒落ている芸者など、異なる魅力が描き出されています。

太田記念美術館の「美人画 麗しきキモノ」展は、それぞれの工夫が光るキモノの数々が見られる展覧会です。(9月1日~10月22日)

喜多川歌麿「婦女人相十品 文読む女」
寛政4~5年(1792~93)頃 大判錦絵(後期展示)
太田記念美術館蔵

本展の見どころを、太田記念美術館の展示担当者、赤木美智さんにうかがいました。

「浮世絵において、時代の美意識を体現した麗しい女性を描く「美人画」は、とても重要なジャンルです。そして画中のきものは、作品の印象を決定づける大きな要素でした。絵師たちは時流にかなった魅力的なきものを描くことで美人画の優品を生み出していったのです。

菱川師房「美人遊歩図」
元禄期(1688~1704)頃
絹本着色一幅(前期展示)太田記念美術館蔵

菱川師房「美人遊歩図」では、きものに散らされた色紙のいくつかに『伊勢物語』の「東下り」や「若草の妹」などの場面が描かれています。女性は遊女ですが王朝古典をまとうことで雅やかな雰囲気も備えることとなります。また丁寧な点描で上質の縮緬地が表現されており、絵師のきものの再現に対する強い思いも感じられる1点です。

鳥居清長「当世遊里美人合 叉江」
天明(1781~89)前期頃 大判錦絵二枚続(前期展示)太田記念美術館蔵
橋口五葉「紅筆持てる女」
大正9年(1920)2月 木版・紙 (後期展示)太田記念美術館蔵

本展では、菱川派らが活躍した江戸前期から伊東深水にいたる昭和初期にかけての作品を前後期あわせて約130点ご紹介いたします。美人画の歴史を通観しつつ、時代とともに変化する流行や着こなしもお楽しみください。また吉祥文様や古来愛された意匠をまとう女性たちの姿からは、日本文化の豊かさにも触れていただけることでしょう」

溪斎英泉「今よふすかた」大判錦絵
天保期(1830~44)頃(後期展示)太田記念美術館蔵

伊達男や美少年など和装男子の着こなしや小物なども紹介されます。ぜひ会場でお楽しみください。

【開催要項】
美人画 麗しきキモノ
会期:前期9月1日(金)~9月24日(日) 後期9月30日(土)~10月22日(日)
   ※前・後期で全点展示替え
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
開館時間:10時30分から17時30分まで(入館は17時まで)
休館日:月曜日(ただし9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、9月26日~29日(展示替えのため)、10月10日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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