世界のトップブランドより数々のプロダクトを発表し、人気を博するデンマークのデザイナー、セシリエ・マンツ。作品の特徴は、柔らかで穏やかな表情を湛えながらも、細かなディテールの仕上がりから繊細な色表現に至るまで、まったくの妥協を許さない完璧な存在を目指すこと。そんな彼女の日本での初個展が都内2か所にて、6月30日(金)まで開催されています。
多様な思想と経験から作品が生まれることを実感
本展「TRANSPOSE 発想のめぐり」では、セシリエ・マンツの体験、思想、感覚、生活、創作の様子をリアルに感じられるようにと、彼女の分身とも呼べる、ごく身近なものを5つのテーマ別に展示されています。たとえば、幼少期の思い出の品、仕事の道具、愛用品、素材など、すべてデザインの発想に重要なものばかり。デザイナー本人による独創的なデザインの会場で、彼女の自宅やアトリエから持ち寄ったものをセシリエ・マンツと同じ視点で鑑賞でき、なんとも不思議な気分に陥ることでしょう。
彼女は考え方について、このように語っています。
「私はすべての作品を進行中の大きなひとつの物語の断片として捉えています。時代や機能を超え、一つひとつのプロジェクトはアイデアや素材、美学によって繋がり合い、影響しあっているのです。 オブジェクトが実験や彫刻的なアイデアに留まることもあれば、もっと具体的なものとして生まれ、機能的なものへと発展していくこともあります。私の仕事は常にシンプルさを軸としており、それが純粋で美しく、機能的なものへと向かうプロセスなのです」
BaBaBa会場/高田馬場
こちらの会場では4つのテーマが展示されています。
01:ARITA|有田の記憶
3歳のときに、陶芸家の両親に連れられてはじめて訪れた佐賀有田町と彼女の関係性をめぐる。
02:TEGNESTUEN|創作の現場
コペンハーゲンの市街地に構えるアトリエの一部を会場に移転。デザインの組み立て方が伺えるドローイングペーパーや試作の道具、デッサンなどを展示。
03:MÅLTID|食事の風景
セシリエのコレクションよりセレクトしたテーブルウェアやカトラリーで食事のシーンを再現。茶碗や湯呑みなど、日本の道具を取り入れた様子も楽しめる。
04:AD HOC|新しいアイデア
本展を設計しながら、次々に新しい創作のアイデアが生まれたというセシリエ。世界初披露となるプロトタイプを通じて、現在進行形でめぐり続ける彼女の発想の様子を紹介。
maruuni tokyo会場/東日本橋
5つのうち、最後のテーマはこちらで鑑賞できます。
05:A Hint of Colour|色彩の意識
2023年4月に、新たなカラーバリエーションを発表するマルニ木工の家具シリーズ「EN(エン)」が展示されています。開発のヒントのもとになったアイテムから創作の過程がうかがえます。
最終日まで、あとわずか。
貴重な機会をお見逃しなきよう、6月のお出かけリストに加えてみませんか。
Cecilie Manz|セシリエ・マンツ
1972年デンマーク生まれ。コペンハーゲン在住。ヘルシンキ芸術デザイン大学交換留学を経て、1997年デンマーク王立芸術アカデミー卒業。1998年コペンハーゲンに自身のスタジオを設立。家具や食器から照明、電化製品など幅広い領域のデザインを手掛ける。またそれらの工業製品に加え、実験的なプロトタイプやより彫刻的な一点物のデザインも彼女の製作活動の中で重要な位置を占める。
ギャラリーツアーも開催
会期中、本展の企画・ディレクションを担当した猪飼尚司氏によるギャラリーツアーも開催されます(申込不要、自由参加)。
「TRANSPOSE 発想のめぐり」
会期|6月30日(金)まで
会場| アートスペースBaBaBa 東京都新宿区下落合2-5-15
11:00~18:00、水曜休、入場無料
ギャラリーツアー|6月17日(土)13:00~/15:00~
https://bababa.jp
「TRANSPOSE 発想のめぐり -A Hint of Colour」
会期|6月30日(金)まで
会場|maruni tokyo 東京都中央区東日本橋3-6-13
11:00~18:00、水曜休、入場無料
ギャラリーツアー|6月24日(土)13:00~/15:00~
https://www.maruni.com