
30年以上にわたり、ジェームズ・ボンドの腕元で時を刻んできたオメガ。その系譜に、初めてボンドの宿敵「スペクター」の名を冠した時計が加わりました。新たな「シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド&スペクター」コレクションは、義務と自由、忠誠と独立という人間の内なる二面性を、ひとつの時計に映し出しています。
文/土田貴史 写真提供/オメガ
30年の絆に加わった、もうひとつの物語
オメガとボンドの縁は、1995年公開の『007 ゴールデンアイ』に始まります。英国海軍中佐という経歴を持つボンドにふさわしい時計として選ばれたのが、ダイバーズウオッチの「シーマスター」でした。以来、ピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグへと主演が受け継がれるなかで、シーマスターは常にボンドの腕にあり、いまやスクリーンの外でも「ボンドウオッチ」として広く親しまれています。
一方のスペクターは、原作者イアン・フレミングが生み出した国際的な犯罪組織です。映画シリーズにも初期から姿を見せ、2015年には『007 スペクター』としてその名が作品の題名にも掲げられました。触手を広げるオクトパスの紋章は、半世紀以上にわたってボンドの前に立ちはだかってきた宿敵の象徴です。
オメガは今回、このふたつの存在を同じコレクションのなかに並べました。ボンドを形づくるのは、義務と規律、そして忠誠心。対するスペクターが体現するのは、揺るぎない独立心と、制約に縛られない自由です。両者は対照的でありながら、その資質は私たち一人ひとりのなかにも共存しているのではないか……コレクションに込められているのは、そうした静かな問いかけです。オメガ社長兼CEOのレイナルド・アッシェリマン氏は「両者は同じ物語の一部であり、これからは両方を身につけることができる」と語っています。


青と黒、同じ心臓に宿るふたつの個性
コレクションの中心となるのは、ステンレススティール製の2モデルです。直径42mm、厚さ14.23mmのケースに、300m防水と逆回転防止ベゼルを備えた本格的なダイバーズウオッチで、いずれもメッシュブレスレットが組み合わされています。搭載するのは自動巻きのオメガ コーアクシャル マスター クロノメーター キャリバー8806。スイス連邦計量・認定局(METAS)の厳格な試験に合格した証であるマスター クロノメーター認定を受け、高い精度と1万5000ガウスの耐磁性能を備えています。約55時間のパワーリザーブを持ち、日付表示を省いた端正な文字盤もこのキャリバーならではの魅力です。
ボンド モデルの文字盤は、ブルーのアルミニウムにレーザーで波模様を刻んだもの。波模様の文字盤は、1993年に登場し、のちに初代ボンドウオッチとなった「シーマスター プロフェッショナル ダイバー300M」以来の象徴的な意匠であり、ボンドとオメガの歩みそのものを想起させます。ベゼルリングには軽量で強靭なグレード5チタンを用い、マットな質感が深い青をいっそう引き立てています。
対するスペクター モデルは、ブラックセラミックのベゼルリングに、グレイン仕上げを施したブラックの文字盤を合わせました。ざらりとした細かな粒子が光を穏やかに受け止め、華美を避けた漆黒の佇まいに凄みを宿しています。同じ骨格を持ちながら、色と質感の選び方ひとつでここまで性格が変わることに、オメガのデザインの妙が表れています。


物語の核心は、ケースバックの奥に隠されています。サファイアクリスタル越しにのぞくローターには、ボンド モデルにはロジウムプレートによるおなじみのガンバレル(銃身)が、スペクター モデルには「SPECTRE」の文字とオクトパスのロゴが描かれています。ケースバックはナイアードロックで固定され、刻まれた意匠が常に正しい向きに収まるよう配慮されています。腕を返したときにだけ現れる、持ち主のための密やかな意匠です。


さらにコレクションには、ステンレススティール製とプラチナゴールド製のモデルを1本ずつ収めた限定セットが、ボンドとスペクターそれぞれに用意されます。各77セットのシリアル番号入りで、プラチナゴールド製モデルは単品では販売されません。その文字盤は18Kホワイトゴールド製で、PVDによるグラデーション仕上げにより、ボンド セットはブルーのガンバレル、スペクター セットはダークグレーのオクトパスの文様を浮かび上がらせます。ローターのエンブレムには18Kムーンシャイン™ゴールドを使用。特製ボックスには付け替え用のNATOストラップや交換ツール、カフスボタン、ブレスレット、ルーペ、レザーのトラベルポーチとカードホルダーが収められ、ストラップキーパーには「007」またはスペクターのロゴが刻まれています。


ボンドの規律を選ぶか、スペクターの自由を選ぶか。あるいは、その両方を自らのうちに認めるか。オメガが投げかける「あなたならどちらを選びますか」という問いは、長く人生を重ねてきた大人にこそ、深い余韻をもって響くはずです。30年余りの物語を受け継ぎながら新たな章を開いたこの2本は、腕元で時を刻むたびに、自らの内にあるふたつの顔と静かに向き合わせてくれるでしょう。


シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド
品番:210.30.42.20.03.004
文字盤:ブルーのアルミニウム製、レーザーによる波模様
ベゼルリング:グレード5チタン製
ケースバック:ロジウムプレートによるガンバレルの刻印
シーマスター ダイバー300M スペクター
品番:210.30.42.20.01.023
文字盤:ブラック、グレイン仕上げ
ベゼルリング:ブラックセラミック製
ケースバック:「SPECTRE」の文字とスペクターのロゴ
共通仕様
ムーブメント:自動巻きCal.8806(オメガ コーアクシャル マスター クロノメーター)、54石、毎時25,200振動(3.5Hz)、パワーリザーブ約55時間
ケース:ステンレススティール(ポリッシュ&ブラッシュ仕上げ)、直径42mm、厚さ14.23mm、逆回転防止ベゼル、ナイアードロック
風防:両面無反射コーティングを施したサファイアクリスタル製フラット風防
防水性:300m
ブレスレット:メッシュブレスレット
価格:各128万7000円(税込)
限定セット:ボンド セット、スペクター セット 77セット(シリアル番号付き。価格は要問い合わせ)
お問い合わせ先:オメガ Tel. 0570-000087 https://www.omegawatches.jp





