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弘法大師空海の御廟のある奥之院へ向かう約2㎞の参道には、30万基ともいわれる供養塔が肩を寄せ合っている。武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉ら戦国武将や諸大名の供養塔などのほか、庶民の供養塔も数多く存在している。

写真は、戦国武将・浅井長政の供養塔。長くその存在が不明で、平成23年に大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」が放映された際にはまだ発見されていなかった。本誌記者が浅井長政の供養塔を撮影したのは平成24年。高野町役場の茶原敏輝さんの案内で奥之院を取材した時のことだ。奥之院の千年杉に寄り添うように立つ供養塔は寂しげな佇まい。長らく訪う人がいなかったような風情だった。

平成26年、高野山大学図書館の木下浩良さんの著書『戦国武将と高野山奥之院』では、「新たに発見された」と浅井長政の供養塔が紹介された。浅井長政が織田信長によって小谷城で切腹したのは天正元年(1573)。供養塔に刻まれた年号は文禄元年(1593)。長政の二十回忌に造立されたと思われる。

400年以上の時を経て、日の目を見ることになった長政の供養塔。同じ奥之院参道には、長政の娘で徳川秀忠に嫁いだお江の供養塔も存在する。お江の供養塔は、奥之院で最大の規模。浅井家は滅びたが、その血脈は徳川将軍家の中で、家光、家綱、綱吉、家継まで受け継がれた。

戦国時代の複雑な人間模様に思いを馳せることができるのも奥之院の魅力のひとつである。

■『サライ』4月号の目次は、こちら
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