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最後の恋

【最後の恋】情が深い彼女に家庭を壊される恐れを抱きつつ、積極的なアプローチに再び気持ちが傾いてしまい……~その2~

取材・文/沢木文

仕事、そして男としての引退を意識する“アラウンド還暦”の男性。本連載では、『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、妻も子供もいる彼らの、秘めた恋を紹介する。

* * *

怒りの感情を隠さない彼女に戸惑いつつも……

今回、お話を伺ったのは北澤史郎さん(仮名・65歳)は、10歳年下の彼女と交際して半年になる。

【その1はこちら

「最初に男女の関係になってから、再び会ったのは、それから1か月後。まさかこの年になって、こんなにワクワクするとは思わなかったよ。予約したのは、深川にある隠れ家的なお店で、名物の檸檬サワーを飲むことを、彼女も僕もとても楽しみにしていた」

ただその店は、席が狭く混雑していた。椅子の高さがあり、座り心地が悪く、料理が出てくるまでかなりの時間がかかった。

「オーダーしたお酒もなかなか出てこない。何度か声をかけても、そもそもスタッフがいないからさばききれないんだ。そしたら、彼女がすごく不機嫌になっちゃって、取りつく島もなかった。料理の途中で『もう帰りましょ』と言って席を立って店を出ようとする。ニコニコ笑って穏やかな彼女しか知らなかったから、椅子を蹴るように立ち、ドアをバタンと閉めるその態度に驚いた」

結局、その日は、北澤さんがなんとかご機嫌をとり、別の店で飲みなおした。

「不機嫌な表情で、何を言っても聞く耳持たないのに、根気よく話をすると、僕の意見を聞いてくれるようになって、お酒が回るとしなだれかかってきた。そして僕の手を取り、自分の頬に当て『酔っちゃった』と言う。まさか自分が女性からそんなことをされるとは思わなかった。大学も会社も周りは男ばかりで、女性がいたとしても、甘えてくる女性は少数派。妻もどちらかというと、さっぱりした性格をしているからね。それまでの、彼女の剣幕と甘えた態度のギャップにドキドキしてしまった。でも、怒りの表情はとっても嫌だったな。あの時に、僕の心に壁ができてしまったんだと思う」

【指を絡めて、甘えてくる彼女に欲望は逆らえなかった…次ページに続きます】

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