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取材・文/大津恭子

【夫婦の距離】孫はかすがい。「厄介なじいじ」がコロナ禍で汚名返上~その1~

定年退職を間近に控えた世代、リタイア後の新生活を始めた世代の夫婦が直面する、環境や生活リズムの変化。ライフスタイルが変わると、どんな問題が起こるのか。また、夫婦の距離感やバランスをどのように保ち、過ごしているのかを語ってもらいます。

[お話を伺った人]

間宮淳子さん(仮名・61歳) 専業主婦。セミリタイア中の夫・仁さん(63歳)とふたり暮らしだが、現在、訳あって娘・さくらさん(31歳)と孫・有ちゃん(2歳)が同居している。

身の回りのことを何ひとつしようとしない夫にがっかり。定年離婚が頭に浮かんだ

夫の勤務が週3回になり、夫婦ふたりで過ごす時間が増えた間宮さんご夫妻。
夫の仁さんのゴロゴロぶりが日を追うごとに許せなくなった淳子さんは、ひと月も経たないうちに「もう耐えられない!」が口癖になってしまった。

「最初は『今までご苦労さん』という気持ちで、ソファに寝転がっていても見て見ぬふりをしていたんですよ。でも、もう耐えられません。一日中ソファにいられると、それだけでストレスなんですよね。視界に入らないでほしい! とまで思うようになるなんて、自分でもびっくりしました」

そこで、夫の部屋を作ることにした。

「娘の部屋が空いていたので、『あなたの部屋として、好きに使ったらいいんじゃない?』と言ってあげたんです。最初は本人も喜んでいたんですけど……」

仁さんには趣味がない。強いて言えば、テレビで野球中継を観るのが昔から好きだった。
定年を機に禁煙には成功したが、その分酒量は増えている。つまみがやめられず、定年後の1年で4キログラム体重が増加した。
仁さんは、55インチ・4Kの薄型テレビを新たに購入し、元娘の部屋にしつらえたという。

「まあ、好きに使ってくれていいんですけど、狭い部屋に55インチですよ! それならリビングのテレビの買い換えが先でしょう、と呆れました。もちろん、何の相談もありませんでした」

テレビ部屋にこもりがちになったことを幸いに、夫の布団もそちらに移動すると、怪訝そうな表情を浮かべたものの、何も言わずに受け入れたそうだ。
淳子さんは、やがて食事も部屋に届けるようにしたが、それでも何も言わなかった。
「冷え切ってますよね。自分でも、いじわるなことをしたと思います。でも、私が何を言いたいか気付いて、あらためてくれると思ったからです」

そんな妻の気持ちを知ってか知らずか、仁さんの生活態度が変わることはなかった。
料理はもちろん、食べ終わった皿を片づけることもしない。洗濯物が雨に濡れていても、気づきもしない。長年の習慣でゴミ出しだけは続けていたが、出勤日でないとゴミ置き場に行くことを渋るようになり、結局ゴミ出しは淳子さんがやるようになってしまった。

「会社以外はほとんど家にいるのに、何も話すことがないし、たまに口を開けば文句や喧嘩になってしまう。このままいけば、離婚する日も近いのかなぁと思っていました」

【次ページに続きます】

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