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取材・文/大津恭子

【夫婦の距離】かわいい愛犬にケガをさせた粗暴な犬は、上司宅の犬!~その2~

定年退職を間近に控えた世代、リタイア後の新生活を始めた世代の夫婦が直面する、環境や生活リズムの変化。ライフスタイルが変わると、どんな問題が起こるのか。また、夫婦の距離感やバランスをどのように保ち、過ごしているのかを語ってもらいます。

[お話を伺った人]

後藤智仁さん(仮名・53歳)自動車メーカー勤務。犬を飼ったことで生活リズムができ、定時退社に努めるようになった。
後藤朝子さん(仮名・49歳)専業主婦。夫の転勤に伴って5回引っ越し、社宅住まいを経験してきた。

~その1~はコチラ】

夫は知らない、社宅に住む奥さん仲間の暗黙のルール

近所で有名な問題児、ならぬ問題ビーグル犬は、愛犬・りんちゃん以外の犬にも吠えたり追いかけたりしていたことがわかり、「注意しよう」と意見が一致。しかし、その犬は自分の上司Xさん宅の犬だった。

「もちろん、犬に罪はない。しつけの問題なんですよ。Xさん自体は腰が低くて人望も厚い人。ところが奥さんは、どこからどう見ても強気なボスタイプで、犬友はみんな、煙たがっているんです」(智仁さん)

「Xさんが出世街道を走るのと平行して、奥さんもエリート社員の妻街道まっしぐらという感じでした。でも、私はそんなものだと思ってましたよ。社宅暮らしが長かったので」(朝子さん)

後藤さん夫妻は結婚以来、5回転勤を命じられ、その都度社宅住まいをしてきたそうだ。結婚当初から社宅で生活してきたため、朝子さんは社宅住まいの暗黙のルールを、ごく自然に受け入れてきたという。

「たとえば洗濯。朝10時頃ベランダで干していると『ずいぶん早いのねぇ』と言われるんです。もちろん、遅いという意味で。何度目かにやっと『注意されているんだ』と気付いたんですけど、同じ会社の奥様に嫌な顔はできないでしょう? それからは7時台には干して、夕方は急いで買い物を済ませて帰ってくるんです。暗くなるまで干しっぱなしにしていると、また嫌みを言われちゃうから。今考えるとヘンなんですけど、当時は社宅に住む奥さん仲間の暗黙のルールにがんじがらめになっていましたね」

【次ページに続きます】

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