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前列中央から時計回りに、ご飯、野蕗のきゃらぶき、煎り豆腐(人参)、鶏そぼろ、漬物(胡瓜と人参の糠漬け・壬生菜・刻み沢庵)、焼き海苔、ごんげん蒸し、大根おろし(葱・鰹節・胡麻)、納豆(葱)、絹さやの浸し(鰹節)、味噌汁(豆腐・若布・葱)、中央右は焼き鮭、左は蒲鉾と山葵漬け。今朝は小鉢に盛っているが、常備菜のきゃらぶきや煎り豆腐、鶏そぼろ、加えてごんげん蒸しなどは大皿で登場し、取り分けていただくことが多い。絹さやは昨夜の残りを浸しに。蒲鉾は、山葵漬け(静岡『野桜本店』の激辛口)をつけて食す。焼き海苔は東京・品川の『みの屋海苔店』のものを愛食。焼き海苔とごんげん蒸しの器の模様は、定紋である揚羽蝶。

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定年以降の人生設計は二択思考で考える!『終の二択 ~定年からの取捨選択術~』【印南敦史の定年本イッキ読み2】

Portrait of senior businessman in big rack server room

文/印南敦史

多くの人は現役で働いてきた結果、定年を機に老後へと進むことになる。これを芝居で「幕が変わる」ことと同列に捉えているのが、『終の二択 ~定年からの取捨選択術~』(ワニブックスPLUS新書)の著者・紀平正幸氏である。

本書ではテレビやラジオのコメンテーターとしても活躍する紀平氏が、ライフカウンセラー、ファイナンシャルプランナーとしての立場から、定年以降の人生設計を考える上できわめて重要な考え方を説いている。

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■「豊かに暮らす」のか「幸せに暮らす」のか?

本書でまず提示される2つの価値観がある。ひとつは「豊かに暮らす」こと、もうひとつは「幸せに暮らす」ことだ。

最初の「豊かに暮らす」とは、税金が上がる一方で年金はカットされる可能性が大きいこれからの時代、友だちづきあいや趣味などは切り捨てても、“人生の最期”までリッチな暮らしをしたいという方向性である。

もうひとつの「幸せに暮らす」とは、お金に振り回されるのではなく、人生の価値観を「豊かさ」から「幸せ」に切り替えていくことにより、亡くなるまで有意義な日々を送ろうという発想だ。そこからは「健康」「家族」「生きがい」「社会貢献」など、お金を使わずとも精神的な「幸せ」を感じられるわけだ。

この2つの価値観を確認したうえで、冒頭の「芝居の幕が変わる」という観点から人生を俯瞰してみると、本書の目指す方向性が理解できる。

人生の第二幕たる老後に突入したにもかかわらず、第一幕と同じように豊かに暮らそうとすることは、現実問題として多くの人にとってはハードルの高いこと。そこを踏まえておかないと、結果的に悩むことになってしまう。だからこそ、第二幕だと割り切るしかないのである。

芝居であれば、第一幕で「波乱や苦悩」があり、「この先の展開はどうなるの?」というシーンで幕間があり、第二幕で「エンディング」へと向かっていく。もちろんストーリーはひとつではないのだから、なかには悲劇で終わる芝居もあるだろう。

とはいえ自分の人生の幕引きであるなら、やはりハッピーエンドで終わりたいもの。だから、その“最期”に向けた演出を施すことが、それぞれの人生設計だという考え方である。

この点を考慮するにあたり、著者は読者に対してひとつの忠告をしている。それは多くの人が“「豊かさ」さえあれば「幸せ」を実現できる”と勘違いしているという点。しかし実際のところ、「豊かさ」と「幸せ」は大きく異なるわけだ。

「豊かさ」とは、単に物質文明を謳歌するだけのこと。「都心の豪邸に住む」「高級外車を乗り回す」「一流ブランドの服を着る」「贅を尽くした食事をする」など、お金さえあれば手に入れられるものである。だが問題は、それらが本当の意味での「幸せ」には直結しないという現実だ。

お金や物があることで得られる安心感はたしかにあるだろう。しかし本質的には、「自分が世の中の役に立っているという存在意義」や、「喜びや悲しみをともに感じる家族などの存在」がなければ虚しさを拭えないのである。

「豊か」であっても「幸せ」ではない人生があるということ。逆にいえば、「豊か」でなくとも「幸せ」な人生があるのだ。残された人生を生きるうえでの価値観を、「豊かさ」から「幸せ」に切り替えることができれば、将来への不安の大部分が解消されるというわけである。

「物質文明に乗せられて消費に踊らされるより、自分のささやかな夢の実現や、自分の経験を社会に還元していくことのほうが幸せーー日本全体がそうした成熟した社会になって欲しいというのが、私の願いである。」(本書より引用)

■究極の二択、あなたはどちらを選ぶ?

さて、本書ではこうした観点を軸として話が進められていくわけだが、特筆すべきは構成の妙である。「暮らし」「人間関係」「食事」「仕事」「健康・医療」「人生」の全6章にテーマが分けられており、どの項目についての答えについても「二択」が採用されているのだ。

たとえば「人生」でいえば、「遺言書は『書く』または『書かない』?」「財産は『遺す』または『使い切る』?」「大切な人へメッセージを『書いておく』または『書かない』?」など、“どちらを選ぶべきか”についてのレクチャーがなされているのである。

本書を読めば、読者は“終の二択”という重たい問題について、リラックスしながら考えることができるのだ。

【今回の定年本】
『終の二択 ~定年からの取捨選択術~』
(紀平正幸著、ワニブックスPLUS新書)
https://www.wani.co.jp/event.php?id=4312

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文/印南敦史
作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。雑誌「ダ・ヴィンチ」の連載「七人のブックウォッチャー」にも参加。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)などがある。

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