関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

***

今回の依頼者は、食品加工会社を経営している鈴木玄一郎さん(仮名・70歳)。関東圏内にある食品加工会社の3代目社長です。

それまで、代々、下請けのような仕事をしていたのですが、玄一郎さんの代から、材料輸入まで手を広げました。BtoBのビジネスなので、一般消費者に知られていませんが、かなりの加工食品に、玄一郎さんの会社が扱う材料が使われています。

英国紳士を思わせるスーツに、不織布のマスク。爪は美しく磨かれていて、豊かなグレイヘアは櫛目がしっかり通っている。ウッディなオーデコロンの香りがしており、風格と品格があるダンディな男性です。

「恥を忍んで……と申しますか、今日は長男の素行についてお調べいただきたいのです。実の息子なのですが、3年前に会社を追放して以来会っていません。今は43歳になっていると思いますが、この男が何をしているかを調べていただきたいのです」

背景を伺うと、玄一郎さんの会社は、祖父の時代に創業し、現在まで同族経営をしていると言います。

「私には子供が3人いますが、2人の娘は会社を継ぎたがらず、長男が跡取りです。それは厳しく育て、私の母校(超名門大学)に中学校から入れて、社長となるべく育ててきたのです。その後商社に入れて、38歳の時に呼び戻しました」

かなりハードな仕事の商社で修業を積み、人脈と業界全体のことがわかってから、玄一郎さんの会社に入社させ、専務待遇で向かえたと言います。

「わが社は従業員も多く、それぞれの生活もかかっており、何よりも大切なのは社員とその家族です。それなのに、息子は自分の利益を優先した。黙っていても給料が入るサラリーマン根性が染みついてしまったのでしょう」

社長の器ではない息子は、会社を私物化していった。斬新なプロジェクトを立ちあげ、相当頑張らないとイノベーションはおこらないとわかりながら、「失敗も学びだ」と玄一郎さんは見守っていた。しかし予想以上の大失敗。

「失敗するのはいいのです。でも息子は何も学ばなかった。ふてくされて、人のせいにして、後始末を古くからいる社員にさせた。さらに、すべきことは全くしておらず、本業と関係ない自分好みの事業に手を出したり、投資をしたりで失敗していた。他の経営陣も私の手前、何も言わずにもみ消していたんです」

【息子の嫁は浪費家のセレブ嗜好、孫を学費のかかる小学校に転校させていた……。次ページに続きます】

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