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取材・文/沢木文

結婚25年の銀婚式を迎えるころに、夫にとって妻は“自分の分身”になっている。本連載では、『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、妻の秘密を知り、“それまでの”妻との別れを経験した男性にインタビューし、彼らの悲しみの本質をひも解いていく。

* * *

今回、お話を伺った、大里博史さん(仮名・73歳)。彼の同じ年の妻は、3年前にガンで亡くなった。結婚45年、2人の息子を育て、いつも一緒にいてくれた妻がいなくなって3年目に起こった変化とは……

【これまでの経緯は~その1~で】

妻が亡くなって、涙が出なかった

妻が死んだことは受け入れていない。

「毎日、容体が悪くなり、緩和ケア病棟に入った時に覚悟をした。死ぬまでの1週間はほぼ一緒にいた。昼間は息子夫婦も孫も来てくれて、妻もしゃんとしているんだけれど、夜になると苦しがった。足がつった時はさすって、肩こりや腰の痛みを揉んだ。50kgあった体重が、32㎏になってしまって、それでも生きてほしかった。妻の胸や尻は小さくなってしまって、童女のようだった。最後にファストフードのポテトフライが食べたいといって、慌てて買いに行って、なんとか3本食べてくれた」

妻は「おいしい」と微笑み、「あなた、ホントに大好きよ。ありがとう。キスして」と言った。

「あれは日曜日だったのに、息子も孫も来ていなかった。キスしてっていうから、そうしたら、容体が急変して亡くなった。僕も横になって、ずっと抱きしめていた。あれは緩和ケア病棟のいいところだよね。“あ、妻の魂があの世に行った”ってわかるんだよね。軽くなるっていうか……あ、逝っちゃったんだ……って」

妻は死期を察して、終活は完璧にしていた。

「息子の嫁たちに、僕が自活できるまでのサポートを3か月間続けてくれと言い。それぞれの嫁たちに50万円ずつ渡していたんだよ。ホントに立派でさ。息子の嫁がかわるがわる2日おきに来てくれて、あっという間に3年経った」

この3年間、妻の遺品をネットで販売したり、妻が財テクをしてくれていたモノの処分をしたりして忙しかった。

「妻の厳命で、僕は市役所のシルバー人材に登録して、公園や公民館の清掃の仕事が週に1回ある。あっという間に3年が経ったある日、息子がスマホをプレゼントしてくれた。スマホって面白いね。落語も映画も観放題。あっという間に1日が経ってしまう」

【スマホで思わぬ女性からアプローチをされた…。次ページに続きます】

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