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取材・文/沢木文

親は「普通に育てたつもりなのに」と考えていても、子どもは「親のせいで不幸になった」ととらえる親子が増えている。本連載では、ロストジェネレーション世代(1970代~80年代前半生まれ)のロスジェネの子どもがいる親、もしくは当事者に話を伺い、 “8050問題” へつながる家族の貧困と親子問題の根幹を探っていく。

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「8050問題」は他人ごとではない

お話を伺ったのは、千葉県浦安市内で介護施設の事務方でアルバイトをしている市村雄一さん(仮名・70歳)。雄一さんの娘は、38歳で自宅に住んでおり、アルバイトを転々としているという。

「妻が甘やかして育てたから、人生何とかなると思っている。でも、10年前に、いわゆる“ブラック企業”に努めていて、心身をやられて自殺未遂までしたので、何も強いことは言えない。でもこのままでは“8050問題”は必ず起こる。それは怖くて」

“8050問題”、50代の子どもが80代の親の面倒を見ることではない。80代の親が年金で50代の子どもを養うことを指す。

「私が娘の年齢には、今の一戸建てを購入して、両親をハワイに連れて行った。子どもも2人いて、夫婦で子育てをして、息子と娘を大学に出したのに、いったい何をやっているんだか」

現在の家族構成は、雄一さんと67歳のパート勤務の妻と38歳の娘の3人暮らし。40歳の長男は石川県金沢市でシステムエンジニアをしているが、独身だ。

「どこから話したらいいんだか……まずは娘。娘は22歳で都内の大学を卒業後、就職活動をして100社全社落ちた。最後の方はボロボロで、かわいそうで見ていられなくて、“もう十分やった。いいんじゃないか”と言い、私が勤務していた商社の孫会社に入社させた」

仕事は単調な事務職。名門大学で社会貢献について学んでいた娘には、つまらない仕事だったようで、2年で転職。

「それから、人権問題を啓発する団体の職員になったんだけれど、とんでもない薄給で、できる仕事も限られていた。将来性も見込めず、数年間勤務して、IT企業に転職。ここも数年で辞めて、ビジネスコンサルの会社に入った。ここが超ブラックだった」

【次ページに続きます】

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