新着記事

オーダースーツ

経営者はなぜ「オーダースーツ」を着るのか?

BLACK LAGOONラベル シングルモルト・ウイスキー|9月19日12:00 発売開始!

マイルス・デイヴィス『クッキン』

「イケメンでなくても好き」という大ヒット・ラブソング【ジャズを聴く技術 〜ジャズ「プロ・リスナー」への道24】

シニアライダーの8割以上がバイクマナーに自信アリ!!|シニアライダーに関する実態調査

シニアライダーは孤独を好む!? 約9割はソロツーリング派

【ビジネスの極意】「ダメな部下」を使わないといけない課長の苦悩

【ビジネスの極意】「ダメな部下」を使わないといけない課長の苦悩

波佐見焼のおひつ2色セット|冷やご飯が、ふっくら炊き立てによみがえる

【管理栄養士が教える減塩レシピ】|旬のさんまを使った炊き込みご飯と蒲焼きレシピ

【管理栄養士が教える減塩レシピ】旬のさんまを使った炊き込みご飯と蒲焼きレシピ

スミカマの槌目模様の包丁|欧米で脚光を浴びる老舗が古風な包丁を近代的にアレンジ

個人的に世界遺産にしたい場所ランキング! 伊勢神宮に阿蘇、東京タワーなど……未登録なのには理由があった?

世界遺産にしたい場所ランキング| 伊勢神宮に鎌倉、東京タワー……登録されないのには理由があった!?

健康オイル、何を選ぶ?

健康オイル、何を選ぶ?|体に良い油の選び方

LINE公式アカウントでも記事を配信中

友だち追加

お気軽に友達追加してください

サライ本誌最新号(クリックで試し読み)

サライ7月号付録「筋トレチューブ」トレーニング動画公開中!

通販別冊『大人の逸品』最新号はこちら

ピックアップ記事

  1. 東寺
  2. 世界遺産の構成資産内にある旧五輪教会。傘を開いたようなコウモリ天井の下、イエスを抱いた聖ヨセフ(イエスの養父)が佇む。手前の聖体拝領台(柵)の意匠は大浦天主堂(長崎市・世界遺産)と共通。鳥の声と波の音が堂内にこだまする。

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

夏目漱石、上野の精養軒で高校の教え子たちと昔を懐かしむ。【日めくり漱石/7月3日】

3 夏目漱石 2

今から105 年前の今日、すなわち明治44年(1911)7月3日は、相変わらずの雨だった。梅雨時で、ここのところ連日のような雨模様。手足にふれるものことごとくがジメジメして心地悪く、気分もくさくさしてくる44歳の漱石だった。

午後2時頃、門弟の寺田寅彦が現れた。

「夕方から第五の出身者が5、6人集まって上野の精養軒で飯を食おうと言ってるんですが、先生もいらっしゃいませんか?」

寅彦のそんな誘いを受け、この雨では億劫だとも思ったのだが、しばらくの雑談のあと思い切って一緒に出かけることにした。「第五」とは、熊本の第五高等学校のこと。漱石が英国留学前に教壇に立っていた学校である。

岩波文庫の『寺田寅彦随筆集』。寺田寅彦はノーベル賞級のすぐれた物理学者である一方、漱石の導きのもと随筆家としての才能も開花させ、「科学随筆」とでも呼ぶべき新ジャンルを拓いた。

岩波文庫の『寺田寅彦随筆集』。寺田寅彦はノーベル賞級のすぐれた物理学者である一方、漱石の導きのもと随筆家としての才能も開花させ、「科学随筆」とでも呼ぶべき新ジャンルを拓いた。

精養軒には、東京帝国大学教授の田丸卓郎、同助教授の木下季吉、内丸最一郎、大蔵省専売局技師の野並亀治、水産講習所所長の石崎芳吉といった面々が顔を揃え、漱石と寅彦を加えると計7人での賑やかな会食となった。田丸卓郎は漱石と同じくかつて五高の教壇に立っていて、寅彦に物理と数学を教えた「もうひとりの恩師」である。

会食の席では、漱石が熊本にいた頃の懐旧談に花が咲き、木下季吉が漱石に叱られた思い出話を披露し、笑いを交えてこう続けた。

「こないだうち、先生が長与胃腸病院に入院されているという話を伝え聞いてお見舞いにうかがおうかとも思ったのですが、昔、五高でこっぴどく叱られた時のことを思い出すとなんだか恐くなって、つい行きそびれてしまいました」

熊本時代の漱石先生、生徒を叱るときには、なかなか厳しかったようだ。半面、何年もの時を経て、こうしてその先生と一緒に和やかにテーブルを囲んでいるのだから、その厳しさの裏に愛情ややさしさが通っていることも、生徒たちには伝わっていたのだろう。

楽しい会食を終え、店を後にしたのは夜9時過ぎ。寅彦が市電の最寄駅の江戸川橋まで送ってくれた。くさくさしていた気分も、どこかへ吹き飛んでいる漱石先生だった。

ちなみに、上野精養軒は、いまも上野公園の一隅で、営業を続けている。漱石や寅彦の時代に思いを馳せ、西洋料理を味わってみるのもいいだろう。

■今日の漱石「心の言葉」
遠い昔が何だかなつかしいような気持のするものが書きたい(『野分』より)

夏目漱石肖指定画像(神奈川近代文学館)720_141-02a

夏目漱石(1867~1916)江戸生まれ。帝国大学文科大学(現・東京大学)英文科卒。英国留学、東京帝大講師を経て、朝日新聞の専属作家に。数々の名作を紡ぐ傍ら、多くの門弟を育てた。代表作『吾輩は猫である』『坊っちやん』『三四郎』『門』『こころ』など。家庭では鏡子夫人との間に7人の子を儲けた。写真/県立神奈川近代文学館所蔵

Web版「夏目漱石デジタル文学館
夏目漱石に関する資料を数多く所蔵する県立神奈川近代文学館。同館のサイトに特設されている「Web版 夏目漱石デジタル文学館」では、漱石自筆の原稿や手紙、遺愛品、写真など漱石にまつわる貴重な資料画像を解説付きで公開しています。

県立神奈川近代文学館
住所/横浜市中区山手町110
TEL/ 045-622-6666
休館/月曜
神奈川近代文学館の公式サイトはこちら

神奈川近代文学館外観_2

横浜港を一望できる緑豊かな「港の見える丘公園」の一画、横浜ベイブリッジを見下ろす高台に立つ神奈川近代文学館。夏目漱石に関する資料を多数所蔵する。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『こぼれ落ちた一球 桑田真澄、明日へのダイビング』(日本テレビ)『石橋を叩いて豹変せよ 川上哲治V9巨人軍は生きている』(NHK出版)など多数。

「日めくり漱石」の記事一覧へ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

PAGE TOP