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夏目漱石、吉原帰りに傑作「虞美人草」のタイトルをひらめく。【日めくり漱石/5月26日】

2 夏目漱石

今から109 年前の今日、すなわち明治40年(1907)5月26日、漱石は門下生の小宮豊隆(こみや・とよたか)とともに上野から浅草方面を散歩した。

たまたま吉原神社で祭礼があり、祭りを見学がてら吉原の廓内へも足を延ばす。路地裏に並ぶ小店の娼妓たちはみな顔色が悪く、漱石は胸の内で悲惨な思いを噛みしめるのだった。

同じ吉原(遊廓)でも、江戸から明治初期にかけて、大名や豪商、文化人たちが利用した社交場としての格式ある高級な大店もある。そこのホステスを務めるのは太夫(たゆう)と呼ばれる高級な遊女であり、彼女たちは小さい頃から高度な教育の特訓を受け、高い教養を身につけていた。

一方、路地裏に並ぶ小店では、そうした社交場としての機能は薄く、貧しい家の娘などが身売りして娼妓となっているような、悲惨な状況が前面ににじみ出ていた。漱石は小宮豊隆と歩きながら、そんな悲哀を目の当たりに感じていたのだった。

ある引手茶屋の前までくると、黒山のような人だかりができていた。何かと思って覗いてみると、祭礼のため芸者がテコ舞姿で立っていた。人形かと見紛うような美しさで、ふいに顔を上げたので「やっぱり生きているんだ」と気づいたほどだった。この華やかさに、漱石はようやくホッと息をつく思いがした。

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ヒナゲシ(虞美人草)の花。

その後、橋場の渡しを船でわたって向島へ行くと、寺の境内の藤棚の下の床几に毛布が敷いてあった。漱石と豊隆はそこに腰掛けて、上野で買い求めておいた鯛飯を食べ、いい心持ちになって昼寝をした。

帰途、森川町で草花の鉢が目についた。植木屋に、「これはなんという花かな」と尋ねると、「虞美人草でさあ」という応えが返ってきた。

「虞美人草か。よし、じゃ、そいつをふたつもらおうか」

2鉢の虞美人草を買い求めながら、漱石の頭にぴんとくるものがあった。ずっと頭の隅にひっかかっていた問題の答えが、ふいに天から降りてきたような心地だった。近く新聞連載を始めるべく構想を練っている小説の題名に、この花の名をつけよう。そう閃(ひらめ)いたのである。

2日後に朝日新聞に掲載された予告文の中に、漱石は綴った。

《花の名を拝借して巻頭に冠らす事にした。純白と、深紅と濃き紫のかたまりが逝く春の宵の灯影(ほかげ)に、幾重の花瓣(はなびら)を皺苦茶(しわくちゃ)に畳んで、乱れながらに、鋸(のこぎり)を欺(あざむ)く粗(あら)き葉の尽くる頭(かしら)に、重きに過ぎる朶々(だだ)の冠を擡(もた)ぐる風情は、艶(えん)とは云え、一種、妖冶(ようや)な感じがある。余の小説がこの花と同じ趣を具(そな)うるかは、作り上げて見なければ余(よ)といえども判じがたい》

このあと小説の連載とともに、三越呉服店から虞美人草浴衣地や虞美人草帯留が、貴金属の玉宝堂から虞美人草指輪が売り出されるなど、ちょっとした“虞美人草ブーム”が巻き起こることになるのだが、漱石先生はまだ知る由もない。

■今日の漱石「心の言葉」
すべての安楽は困苦を通過せざるべからず(『吾輩は猫である』より)

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夏目漱石(1867~1916)江戸生まれ。帝国大学文科大学(現・東京大学)英文科卒。英国留学、東京帝大講師を経て、朝日新聞の専属作家に。数々の名作を紡ぐ傍ら、多くの門弟を育てた。代表作『吾輩は猫である』『坊っちやん』『三四郎』『門』『こころ』など。家庭では鏡子夫人との間に7人の子を儲けた。写真/県立神奈川近代文学館所蔵

Web 夏目漱石デジタル文学館
夏目漱石に関する資料を数多く所蔵する県立神奈川近代文学館。同館のウェブサイトに特設されている「Web版 夏目漱石デジタル文学館」では、漱石自筆の原稿や手紙、遺愛品、写真など漱石にまつわる貴重な資料画像を解説付きで公開しています。

県立神奈川近代文学館
住所/横浜市中区山手町110
TEL/ 045-622-6666
休館/月曜(5月2日は開館)
神奈川近代文学館の公式サイトはこちら

神奈川近代文学館外観_2

横浜港を一望できる緑豊かな「港の見える丘公園」の一画、横浜ベイブリッジを見下ろす高台に立つ神奈川近代文学館。夏目漱石に関する資料を多数所蔵する。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『こぼれ落ちた一球 桑田真澄、明日へのダイビング』(日本テレビ)『石橋を叩いて豹変せよ 川上哲治V9巨人軍は生きている』(NHK出版)など多数。

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