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夏目漱石、門弟の窮状を見かねて友人に一筆したためる。【日めくり漱石/12月1日】

3 夏目漱石 2

今から103 年前の今日、すなわち大正2年(1913)12月1日、46歳の漱石はまだ東京帝国大学に在学中の門弟、岡田耕三(のちの林原耕三)のために一筆したためていた。宛て先は、横浜の渡辺和太郎。かつてロンドンで一緒に俳句を楽しんだ仲間で、その後も交流が続いていた。

拝啓先夜は失礼致候、云々(うんぬん)の挨拶の言葉のあと、漱石は、

《乍唐突(とうとつながら)御願の儀有之(これあり)候》

として、その中身を説明していく。

その頃、渡辺和太郎の親類で渡辺銀行頭取の渡辺勝三郎という人物が、「宏徳会」という会を組織していて、金銭的に恵まれない学生たちに対して奨学金を給付していた。

岡田耕三も実家の経済事情の悪化から、この奨学金を申し込んだ。会の方からは、この奨学金を出すか出さぬかは、来年4月に決定する旨の連絡があった。

ところが、岡田にはそれを待っている余裕がなかった。年明け早々から奨学金がもらえなければ、退学もやむなし、という窮状に陥っていた。

岡田はよき人物で頭脳も明晰、学問を途中で諦めさせるのは惜しい。漱石はそのように思っている。そこで、和太郎から口添えしてもらって、できれば時期を繰り上げ、1月から岡田に奨学金がもらえるよう後押ししてもらえないか、というのだった。

漱石はこうも書き添えた。

《万一四月よりの給費を一月に繰上げる事、かない不申(もうさず)候えば、一月より四月迄の間は小生がどうかしてやるより外に途(みち)はなくなり申候。小生も左程富裕にも無之(これなく)候えども、万一の場合はその位の事は本人のために致しても宜敷(よろしく)、その代りどうぞ四月からの候補者中より岡田丈(だけ)を被給学生として今から定めて頂きたいと存候。そうなれば当人は無論小生も安心致候》

漱石はこれまでも物心両面で何かと岡田を援助してきたが、ここでも場合によっては、相当の金銭的支援をする腹は決めている。その上での、お願いの手紙だった。

漱石は過去にも、門弟の東新が下宿の家賃を払えず困っているのを見兼ね、月々30円の金を1年間にわたって補助してやったこともあった。その他、折にふれ、門弟の誰彼に小遣いを渡したり、返済されるあてのない金を用立ててやったりしていた。

その後まもなく、宏徳会から岡田のもとに、1月から会員として奨学金を給付するという連絡の手紙が届いた。漱石先生、大いに安心し、渡辺和太郎に礼状をしたためている。まさに親代わりそのものの、漱石先生である。

林原耕三と姓の変わった岡田は、後年、こう書いている。

《私に取って先生がただの『先生』ではなく、一種の父親であったということです。出来損いの子は余計に可愛いと申します。先生は断ち切ろうにも切れない因果の絆で結ばれた不肖の子に対する愛情を持っていて下さったような気がします。(略)私を包んでいたのは只の師弟愛ではなくて父性愛でした》(『漱石山房の人々』)

■今日の漱石「心の言葉」
学問は人間が出来上がるのが目的である(『野分』より)

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夏目漱石(1867~1916)江戸生まれ。帝国大学文科大学(現・東京大学)英文科卒。英国留学、東京帝大講師を経て、朝日新聞の専属作家に。数々の名作を紡ぐ傍ら、多くの門弟を育てた。代表作『吾輩は猫である』『坊っちやん』『三四郎』『門』『こころ』など。家庭では鏡子夫人との間に7人の子を儲けた。写真/県立神奈川近代文学館所蔵

Web版「夏目漱石デジタル文学館
夏目漱石に関する資料を数多く所蔵する県立神奈川近代文学館。同館のサイトに特設されている「Web版 夏目漱石デジタル文学館」では、漱石自筆の原稿や手紙、遺愛品、写真など漱石にまつわる貴重な資料画像を解説付きで公開しています。

県立神奈川近代文学館
住所/横浜市中区山手町110
TEL/ 045-622-6666
休館/月曜
神奈川近代文学館の公式サイトはこちら

神奈川近代文学館外観_2

横浜港を一望できる緑豊かな「港の見える丘公園」の一画、横浜ベイブリッジを見下ろす高台に立つ神奈川近代文学館。夏目漱石に関する資料を多数所蔵する。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『こぼれ落ちた一球 桑田真澄、明日へのダイビング』(日本テレビ)『石橋を叩いて豹変せよ 川上哲治V9巨人軍は生きている』(NHK出版)など多数。最新刊に、『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)がある。

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