現代のわれわれが想像する以上に、自らの体調に留意していた戦国武将。健康を害することは「お家の一大事」。現代医療から見ても理にかなった彼らの健康術を分析する。

伊達政宗甲冑姿木像(瑞巌寺蔵)。幼少の頃、疱瘡を患い片目を失った政宗だったが、長じてからは健康管理に余念がなく、数えで70歳という長寿を全うした。

伊達政宗甲冑姿木像(瑞巌寺蔵)。幼少の頃、疱瘡(ほうそう/天然痘)を患(わずら)い片目を失った政宗だったが、長じてからは健康管理に余念がなく、数えで70歳という長寿を全うした。

遅れてきた戦国武将、伊達政宗(1567~1636)。彼もまた、長寿を全うした「健康覇者」のひとりだ。

戦場や政治の駆け引きで見せた剛胆な態度や活躍が際だって語られる政宗だが、じつは自身の健康管理には細心の注意を払っていたことが知られている。

「伊達政宗は身近なものを使って、誰でもできる健康法を実践していました。大国の大名でありながら、お金のかからない、素朴な方法ともいえます」

医道史を専門とする國學院大学講師の宮本義己さんがこう語る政宗の健康法とは、竹割をして鬱気(うつき)を晴らすとか、行水(ぎょうずい)を行なう、薄着で過ごす、脈をとる、水を飲むなど。簡単なものばかりだが、政宗の健康に対する強いこだわりが感じられる。

 

■昼寝の達人だった政宗

特に宮本さんが注目するのは、政宗の睡眠術だ。

「政宗は昼寝の達人。仮眠をとる際は、きちんと床に伏して寝ていました。座ったままの仮眠だと血流が滞ることがあり、健康を害することもあることを戦場で体得していたのかもしれません」

眠い時には15分でも体を横たえて寝ることで充分疲れがとれ、ストレス解消にもなるという。

こうした政宗の素朴な健康術を、北里大学名誉教授の塩谷信幸さんも絶賛する。

「定期的に脈をとることで自身の体調を知る推脉法(すいみゃくほう)は、現代人も取り入れた方がいいと思います。規則正しく脈をとれば、自分の平時の脈拍数を把握することができます。すると、頻脈(ひんみゃく)や不整脈があるといったことにもいち早く気づくことができる。熱があれば脈拍も速くなりますし、自分の脈を知ることは健康の目安になります」

政宗が築城、約270年にわたり伊達家の居城だった仙台城。家康に敵意がないことを示すため天守閣はなかった(写真/仙台市観光交流課)

政宗が築城し、約270年にわたり伊達家の居城だった仙台城。家康に敵意がないことを示すため天守閣はなかった(写真/仙台市観光交流課)。

 

■素朴な健康法で寿命を克服

政宗は日頃、大茶碗で水をたくさん飲んでいたという。この「飲水療法」も、体に害のない身近な健康法だ。

「水は無害ですし、水分をとることによって尿などで排泄を促します。今でいうデトックス(排毒)効果が期待できます。特に寝起きは、汗や気道や皮膚から蒸散する不感蒸泄(ふかんじょうせつ)と呼ばれる水分を補うためにも水を飲んだ方がいい。年齢を重ねると渇水感も鈍くなるため、意識的な水分補給を心がけたいものです」(塩谷さん)

日々の生活に多彩な健康法を取り入れていた政宗は、積聚(しゃくじゅ)と呼ばれる痛みを伴う潰瘍性疾患の持病を克服。70年の生涯を終えた時の将軍は、3代徳川家光。世の中は天下泰平を謳歌(おうか)していた。

 

【政宗の健康法5つ】

一、竹割で鬱気を晴らす

二、行水の励行

三、薄着で素肌を鍛える

四、推脉法で体調を知る

五,飲水健康法と昼寝

 

取材・文/平松温子

(本記事はサライ2014年12月号に掲載されたものです)

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