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家康と漢方 かつて江戸幕府の薬草園だった、東京・文京区にある『小石川植物園』。

60歳で長寿といわれた時代に、75年の人生をまっとうした徳川家康(1543~1616)。家康は生涯、焼き味噌や麦飯など粗食を好んで食し、それが長寿につながったといわれるが、老境に入ってからは漢方薬に強い興味を持つようになった。それも『和剤局方』『本草綱目』など中国から取り寄せた漢方の書物や医学書を熟読し、侍医に調合を命じたり、ときには自らが調製したりして、数々の薬をつくりだした。

風邪に効き目があったという「紫雪」(しせつ)や滋養強壮の「八味丸」(はちみがん)などの常備薬を、家康は専用の薬笥(くすりばこ)に蓄え、自ら服用するとともに大名たちにも分け与えた。家康が調合したとされる薬の入った古壺『びいどろ壺』(久能山東照宮博物館蔵)が今も残っている。

家康の薬の知識おける自信は過剰ともいえ、しばしば侍医たちの意見も無視することがあった。家康が鯛のてんぷらを食べて腹痛をおこし、それが原因で亡くなったという説はよく知られているが、このときも家康は食中毒と自己診断して、「万病円」という腹痛薬を持ってくるように指示している。

家康が、子の秀忠や幕府の医官に伝えた薬の知識は幕府の医事制度の礎となり、のちの小石川薬園(現在の『小石川植物園』)などの医療機関として結実したのだった。

文/内田和浩

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