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健康

歯科医が提唱!高齢者に多い「誤嚥性肺炎」は口腔ケアで予防できる

文/鈴木拓也

日本人の死因のワースト3は長らく、がん、心疾患、脳血管疾患が不動の地位を占めていた。それが2011年になって、それまで4位であった肺炎が、脳血管疾患と入れ替わって3位になり、以来その座をキープしている。

そんな肺炎には、亡くなる人の97%が65歳以上という特徴がある。実はそのほとんどが、飲食物が気道に入る誤嚥がもとによる「誤嚥性肺炎」によるものだ。

高齢になると、ものを飲み込んだ際にタイミングよく気管の入り口が閉じられ食道へと導くという、人体に備わった繊細なメカニズムが衰えてします。そのために誤嚥のリスクが高まり、肺炎のリスクも高まるのだ。

これを予防するために注目されているのが、喉の筋肉を鍛えて嚥下力をつけるという体操だ。何人かの専門医が、独自の体操を編み出しているので、バリエーションは豊富。しばしばメディアも取り上げているので、何かで見知っている方も多いだろう。

しかし、そうしたアプローチとは一線を画して、“口腔ケア”で肺炎を防ごうと提唱しているのが、米山歯科クリニック(横浜市)の院長・米山武義さんだ。米山医師は、嘱託で老人ホームの歯科医も務めており、高齢者の口腔ケアでは第一人者である。

今回は、米山さんの著書『肺炎は「口」で止められた!』(青春出版社)から、「誤嚥性肺炎」を予防する口腔ケアの方法をご紹介する。

*  *  *

著者の米山医師の考えは、単純にして明快だ。そもそも誤嚥性肺炎とは、飲食物と一緒に入った細菌が悪さを起こして発症するのであるから、その元を断つ(つまり口腔ケアによって口内の細菌をあらかじめ減らしておく)ことで、万が一誤嚥しても肺炎につながりにくくなる、というもの。

米山医師が老人ホームの高齢者の口腔ケアを徹底したところ、それまではよくあった入所者の発熱(肺炎の兆候のことがある)が激減したことから、着想したという。

細菌にとって、口の中は温度、湿度、栄養が揃った絶好のすみか。そこに住み着いている細菌は、約600種類に及ぶという。その中には善玉菌もいれば、肺炎桿菌や黄色ブドウ球菌といった肺炎を引き起こす悪玉菌もいる。日常的な口腔ケアによって、悪玉菌を減らせれば、肺炎の予防になる。本書ではその具体策を次のように記している。

●就寝前、起床後の歯磨きは大事

唾液には、口中の細菌増殖を抑制する働きがあるが、眠ると唾液の分泌は半減し、細菌は大増殖するという。

そこで著者がすすめるのが、寝る前と起きた後の「歯磨き」。虫歯予防の観点からすれば、歯磨きは食後にするものだが、肺炎リスクを減らすには、さらにこれらの時間帯にも磨くと効果的なのだという。

これは磨くというより「口腔内の細菌を取り除く」ことのほうが目的で、そのためには軽く口をすすぐのだけでもよいのだそうだ。

●歯磨きの前に歯間ブラシ

著者の米山医師によれば、歯と歯の間は汚れやすくて歯ブラシの届かない「ハイリスク」部分だという。特に年齢とともに歯の歯の隙間が増えてリスクは上昇する。

そこで勧めているのが、歯を磨く前に歯間ブラシを隙間に入れ、「ハイリスク」部分をきれいにすること。歯磨きの後だと、歯磨き成分のフッ素も取り除いてしまうので、あくまでも歯磨きの前にすべきだという。

●歯のトラブルがなくとも歯医者に行く習慣をつける

継続的な口腔ケアによって、末永く自分で噛める歯を維持できれば、十分な栄養を摂取できて抵抗力も強められる。そうなれば、ちょっとやそっとでは肺炎にならない強い体となれる。この考えから、3~4か月に1度、歯科医に診てもらうことがとても大事と米山医師は力説している。

比較的若い世代であっても、誤嚥性肺炎は遠い未来の話ではなく、口腔ケアを通じた予防は40代から始めるべきだと米山さん。そして、口腔機能の衰えがはじまる60代が、有効な手を打てる最後のチャンスだとのこと。

口の健康が気になるサライ世代の方々は、本書を読まれて対策に着手するとよいだろう。

【今日の健康に良い1冊】
『肺炎は「口」で止められた!』
(米山武義著、本体1,000円+税、青春出版社)
http://www.seishun.co.jp/book/19389/

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

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