新着記事

越後亀田縞ハンチング|伝統織物で仕立てた小粋な木綿ハンチング帽

失敗を恐れずに進むことが特効薬|『「感情の老化」を防ぐ本』

40代から始まる「感情の老化」を食い止める方法|『「感情の老化」を防ぐ本』

春の体調管理の鍵を握るのは免疫力を上げる「たんぱく質」!

春の体調管理の鍵を握るのは免疫力を上げる「たんぱく質」!

「褒められると伸びるタイプなんです」と言う部下への接し方

【ビジネスの極意】「褒められると伸びるタイプなんです」と言う部下への接し方

ペーパーグラス|眼鏡作りの聖地が生んだ驚異の薄型軽量読書眼鏡

仏像曼荼羅イメージ 東寺蔵

空海発案の立体曼荼羅21体のうち、15体が集合【特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」】

災害時に愛猫がPTSDに陥ったら!|知っておきたい「猫のPTSD」治療法

竹製のスタンドにヤシの葉のうちわを常備。和室はエアコンを設置せずに、うちわや扇風機で涼をとります。網戸がなく、窓を開けっ放しにしているため、家中のいたるところに置いている蚊取り線香入れは、バリ島でつくられたもの。

春過ぎて夏を待つ日に葉山の家へ【桐島かれん『KAREN’s』】

50代夫婦1000名に聞いた定年対策 実態調査!|「定年退職後も夫には外で働いてほしい」は9割近く!!

妻の9割は「定年退職後も夫には外で働いてほしい」|50代夫婦1000名に聞いた「定年後のライフスタイル」

SIWA長財布|障子紙の里から生まれた優しい手触りの軽量財布

サライ本誌最新号

住宅特集アンケート実施中です!

別冊付録「大人の逸品カタログ」商品はこちらから

ピックアップ記事

  1. オリックス・リビング社長、森川悦明氏。「グッドタイム リビング センター南」にて撮影。
  2. アウトサイド・ジャパン展

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

催し物

ヤンキー人類学から老人芸術まで、70名以上の作品が揃う大規模展覧会|【櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展】ついに開催![PR]

取材・文/末原美裕

日本で唯一のアウトサイダー・キュレーター、櫛野展正(くしののぶまさ)さんによる初の大規模展覧会『櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展』がGallery AaMo(ギャラリー アーモ)で4月12日(金)〜5月19日(日)まで開催されます。

「ヤンキー人類学」、「遅咲きレボリューション!」など、話題の展覧会を企画し続けている、櫛野展正さん。

「ヤンキー人類学」、「遅咲きレボリューション!」など、話題の展覧会を企画し続けている、櫛野展正さん。

「アウトサイダー・アート」とは、一般的には美術の教育を受けていない人々の創作を指し、2010年にパリで開催された『アール・ブリュット ジャポネ展』で12万人を動員したことを契機にアート・ワールドで脚光を浴びています。昨今では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた障がい者の自立のためのアート活動の推進も国を挙げた課題として取り組まれています。

この展覧会では障がいの有無にかかわらず、櫛野展正さんがキュレーションした、表現せずには生きられない70名以上の芸術家たちの作品を鑑賞することができます。
果たしてどんな展覧会なのか、櫛野展正さんにインタビューをしました。

誰もが「表現者」としての可能性を秘めています

――「アウトサイダー・アート」というと、日本では障がい者のアートを中心に国レベルで支援の輪が広がっていますが、櫛野さんはなぜ、障がいの有無に限らず、作品を選ばれているのですか?

櫛野:元々、知的障がい者福祉施設の職員として働いていました。その時にたまたま隣で絵を描いていた障がい者の方がすごく面白い絵を描いていたけれど、誰にも知られていなかったので、個展などの企画を通して、世の中に広げていったことが始まりでした。
でも、ここ10年ほどは、どちらかというと障がい者のアートは保護されていて、絵を描けば発表する場があり、関心を向けられています。その一方で、障がいのない表現者たちには一向に光が当たらないんですね。そもそも「障がい者のアート」と「アウトサイダー・アート」は同じではないし、誰もが「表現者」としての可能性を秘めています。
だから、20年くらいやっていることは変わらないんです。障がいの有無にかかわらず、隣にいる人が面白いだけ。でも、みんなは知らないから僕が代わりに紹介をしています。

――表現者の中にはテレビで紹介される方も出てきていますが、メディアに取り上げられることについてどう思われますか?

櫛野:バラエティ系の番組から「この人の連絡先を知りたい」とよく聞かれるのですが、面白おかしく取り上げられることは、僕にとって本意ではないんです。消費されかねないという危機意識がありますね。それは、表現者の方たちの人生に僕なりの責任を感じているところがあるからかもしれません。

初めての取材はいつも一人で向かうという、櫛野さん。作者の方への尊敬の念は常にあるそうです。

初めての取材はいつも一人で向かうという、櫛野さん。作者の方への尊敬の念は常にあるそうです。

――表現者の方たちについて教えてください。

櫛野:アウトサイダー・アートというと、何らかの障がいを抱えている人のアートと思われがちですが、遠藤文裕さん(妄想スクラップ職人)やスギノイチヲさん(顔面模倣家)のようにサラリーマンをしながら表現をしている方もいるんですよ。また、今回の展覧会にも出品される長 恵(ちょうめぐむ)さんは僕の福祉施設職員時代の上司でした。退職後から奇妙な絵を描き始め、一気に表現者になりましたね。
皆さん、日常生活を営みながら作品を作り続けている、「普通の人たち」ですよ。ひょっとすると僕ももっと年をとった時に何かを始めるかもしれませんし、誰にとっても他人事ではないんです。

長 恵さん

長恵さんの部屋は作品で埋め尽くされている

――皆さん、アート活動はどのように始められているのでしょうか?

櫛野:僕自身、「人はなぜ表現をするのか」ということを知りたくて、取材を続けています。そこを深掘りしていくと、全員が同じではないんですが、例えばスギノさんの場合は生まれてすぐにお兄さんや両親と離れ離れの生活を送ることになったり、遠藤さんの場合は離婚だったりと、人生において何らかの逃れることのできない宿命的なものに遭遇していることが多いですね。
高齢の方だと、悲愴な戦争体験だったり、定年退職だったり、環境の変化が創作の動機になっている方が非常に多いですね。60歳からの人生を見つめ直したときに、「何か人生に爪痕を残したい」という気持ちが出てくるのでしょうね。多くの人たちが、自分の好きなことを身近な素材を使って表現されています。環境によって使う素材も異なるところが面白いです。

(スギノイチヲ・作)。

スギノイチヲさんによる「蛭子能収」

「妄想スクラップ」(遠藤文裕・作)。新刊『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』に出てくるスクラップブックの後日談をまとめたノートを展覧会では手にとって読むことができます。

遠藤文裕さんによるスクラップブック。新刊『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』の後日談をまとめたノートは、展覧会で読むことができます。

――表現者の方たちは元々「見てもらいたい」という欲求はあったんですか?

櫛野:アウトサイダー・アートは極私的な作品が多く、誰かに見せるための表現ではないものが大半なので、“これを見てもいいのだろうか”という見る者の葛藤や不安感を含めて味わってもらいたいですね。

――自分の内から湧いてくるモチベーションから作品が生まれているのですね。

櫛野:そうですね。基本的にアウトサイダー・アートは一代限りの芸術なので、親から子へと伝承していくことはないんです。その跡継ぎもいない儚さも魅力の一つですよね。

――一般的に言えば、定年退職をすると男性たちは、例えばそば打ちを始めるとか型にはまったことをしようとしますが、やりたいことがある人たちは羨ましいですね。

櫛野:人生をかけるほど熱狂するものを見つけた人たちですから、おそらく死を目前にしても後悔はしないんだろうなと思いますね。僕らはどうしても、「あれをやっておけばよかった」と後悔しがちですから。僕にとっては表現者の方たちとの出会いが、迷っているときに背中を押してくれたり自分の人生の軌道修正をしてくれてたりする。だから僕はこの活動を続けているんだと思います。

世界的に見てもすでに注目度の高い人たちがたくさんいる

――これからもアウトサイダー・アートのキュレーションを続けていくのですか?

櫛野:はい。例えば、今回展示される「昆虫新田義貞像」(当展覧会で初公開)は、故・稲村米治さんの手で1970年に5000匹の昆虫で制作された作品です。現代美術の業界では、昆虫で手がけた作品が有名なヤン・ファーブルというアーティストがいるんですが、その人よりも圧倒的に早い時代に、昆虫を使い左右対称の作品を制作しています。
僕としては自分がキュレーションしているものは、アウトサイダー・アートだと思っていないんです。これこそが「美術」の王道で、美術史が百年ぐらい進んだら、ひっくり返せるくらいの勢力を今集めている最中なんです。遠藤さんのスクラップブックの一冊も世界有数のアール・ブリュットのコレクションとして知られるフランスの非営利財団abcdに収蔵されるなど、世界的に見てもすでに注目度の高い人たちがたくさんいるんですよ。

「昆虫新田義貞像」(稲村米治・作)

「昆虫新田義貞像」(稲村米治・作)

――今回の展覧会は、櫛野さんの新刊『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』(イースト・プレス)に掲載されている作品だけでしょうか?

櫛野:本の中では、「セルフビルド」という建造物そのものがアートになっている作品を紹介しているのですが、それを展示しようとするとパネル展示になってしまうので、「フェイク」と「エロス」という2つのジャンルを加えて新たに再構成しています。だから、本には登場していない作品もたくさんご覧いただけますよ。例えば、深沢佳那子さん(特殊年賀状クリエイター)が作成した年賀状を使って等身大の顔はめパネルを制作してもらいました。そこから顔を出して写真が撮れるような体験も用意しています。

――展覧会を訪れた人が櫛野さんに自分の作品を見てもらうことは可能ですか?

櫛野:もちろんです。本展覧会でも最後のコーナーに“情報提供求む”というパネルを作って、僕のメールアドレスやギャラリーの住所を公開しています。日常的に色々な人から電話がかかってきたり、僕が運営するギャラリー「クシノテラス」に作品が直接送られてきたりすることもありますね。

――どのような作品が選ばれているのですか?

櫛野:「僕自身が生きてきた中で一度もそうした作品を見たことがない」ということが一つと、「人生の大半以上をかけて作り続けているということ」ですね。ただ、僕が勝手に選んでいるだけなので、別の人が見たら、僕が選ばなかった作品でも、これはすごいと評価をするかもしれません。その辺の基準は相対的ですね。

展覧会そのものを壊したい、というのが僕のテーマ

――『櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展』を訪れたら、これまでの価値観が変わりそうですね。

櫛野:今の日本の美術の捉え方は二通りあると感じています。一つは有名な絵が来た時にみんながこぞって足を運ぶというもの、もう一つは珍スポットとかB級スポットとして評価するというもの。
僕はそういう考えには否定的で、本人は“珍”だと思っていないし、A級だと思っているのに、そういう呼び方をして面白がるのは違うんじゃないかと常々感じています。その中間がないんですよね。だから、その文化を作りたいなと思っています。

――最後に、『櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展』への思いとサライ.jp読者へメッセージをお願いします。

櫛野:展覧会そのものを壊したい、というのが僕のテーマです。もともとストリートにあるものを美術館の中に無理やり持ち込んで見せる、展覧会というスタイルに昔から疑問を感じていました。本当は丸ごと見せたいのに、その一部しか見せられないことや、表現者はどう感じているんだろうとずっと考えてきた上で、「櫛野展正と行く!現場訪問ツアー」を行なっています。今回の展覧会の期間中に開催する15回目となるツアーは、青森が舞台です。
他にも、辻 修平くん(「あさくら画廊」オーナー)は毎日ライブペインティングをするとか、遠藤文裕さんは自腹でやって来て朝から晩まで似顔絵を描くとか、人によっては期間中に何度も作品を入れ替えるとか、すごく流動的な展覧会になると思います。『櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展』と、展覧会には僕の名前がついてはいますが、主役は70名以上の表現者の人たちです。その人たちが常にどこかにいる状況を作りたいな、と思っています。

僕にとって初めての大規模な展覧会ですが、肩肘張って鑑賞するような展示ではなく、「普通」の人々が一風変わった面白いものをたくさん作っていますので、とにかく楽しんでいただきたいですね。そして、現場訪問ツアーや関連イベントもやっていますので、展覧会の枠に収まりきらない表現を感じて欲しいなと思います。

アウトサイド・ジャパン展

■櫛野 展正さん
日本唯一のアウトサイダー・キュレーター。1976年生まれ。広島県在住。
2000年より知的障害者福祉施設職員として働きながら、広島県福山市鞆の浦にある「鞆の津ミュージアム」 でキュレーターを担当。2016年4月よりアウトサイダー・アート専門ギャラリー「クシノテラス」オープンのため独立。表現せずには生きられない人たちに焦点を当て、全国各地で取材を続けながら執筆や展覧会の企画、ツアーなど多彩な活動を行っている。
著書に『アウトサイドで生きている』(タバブックス)、『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』(イースト・プレス)。
現在、「クシノテラス」の展示スペース増設のためのクラウドファンディング実施中
「クシノテラス」http://kushiterra.com/

■櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展

開催期間:4月12日(金)~5月19日(日)
営業時間:10:00~18:00(金曜のみ10:00~20:00、4/29はイベントのため10:00〜19:00)※最終入館は閉館の30分前
料金:【当日券】大人(高校生以上)1300円、【前売券】大人(高校生以上)1,100円
場所:Gallery AaMo(ギャラリー アーモ) アクセスはこちら
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/kushino2019.html

取材・文/末原美裕
撮影/大村基嘉

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 仏像曼荼羅イメージ 東寺蔵 空海発案の立体曼荼羅21体のうち、15体が集合【特別展「国宝 東…
  2. 歌川国芳「たとゑ尽の内」個人蔵 猫、猫、猫。江戸時代の「猫ブーム」を垣間見る【特別展 いつだって…
  3. 徳川家光 《兎図》 個人蔵 夏目漱石、伊藤若冲、徳川家光が描いた脱力系の問題作を見よ!【へそ…
  4. 黒糸巻柄突兵拵(長船真長小太刀付属) 明治時代(19世紀)  静嘉堂文庫美術館蔵 高綱・行光の古備前刀工から一文字・長船など各流派まで|「刀剣王国…
  5. トーベ・ヤンソン《イースターカード原画》1950年代 ムーミンキャラクターズ社蔵 家族そろってムーミンに会いに行こう【ムーミン展】
PAGE TOP