古総湯浴場

山代温泉の共同浴場「古総湯浴場」の内観。レトロなステンドグラスが目を引く。

北陸新幹線の開業で、東京と金沢間はぐっと近くなりました。北陸随一の温泉地といわれる山代温泉は、金沢駅から特急で約30分。東京からは最速で3時間あまりで到着します。

山代温泉は奈良時代の僧・行基(ぎょうき)が開湯したと伝わり、約1300年の歴史を誇ります。戦国武将・明智光秀も湯治のために滞在したとされ、温泉の効能は全国にまで知れ渡っていたといいます。

のちには与謝野晶子や泉鏡花、さらに食と陶芸の世界で活躍した北大路魯山人も滞在。ゆかりの品も多く遺ります。

温泉地は、共同浴場を中心に旅館が並び、さらにその周辺に商家などが取り囲むという構造です。共同浴場を中心としたこの街並みを「湯の曲輪(ゆのがわ)」と呼びますが、これは北陸独特の呼び方とのこと。

山代温泉には、現在2つの共同浴場があります。地元の方が日常的に利用している現代的な「総湯」と、明治時代の総湯を復元した「古総湯」です。

古総湯外観

古総湯外観

古総湯は、ステンドグラスや壁・床の九谷焼のタイルなど、レトロな温泉浴場の雰囲気を忠実に再現。湯船には少し熱めのナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉・塩化物泉の源泉が満ちています。

浴場には石鹸やシャンプー類はありません。ただただ、湯に浸かるだけ。かけ湯をして、ゆっくりと温泉を楽しみます。

ご常連の方と話をすると、毎日この湯に入ることで、ひざ痛がやわらぎ、体調も優れるとのこと。私もついつい長湯をしてしまいました。

2階には、なんともレトロな湯上り処があり、ここでまったり。湯上りの肌はさらりとしていますが、体の芯から温まり、湯冷めをしません。歴史ある温泉の力を感じます。

湯上り処P6240800

湯上り処

北陸の名湯、山代温泉。そのシンボルである古総湯で、「湯あみ」という温泉文化を体感してみてはいかがでしょうか。

【古総湯浴場】
■住所 加賀市山代温泉18-128番地
山代温泉へのアクセスはこちら
■電話 0761-76-0144
■営業時間 6:00〜22:00
■休業日 第4水曜6:00〜12:00まで(正午から通常営業)

取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。

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