透き通るような氷の海へ!26日間かけて南極圏の海域をめぐる壮大な船旅

シースピリット。

シースピリット。

南極半島への船旅は、いま旅行者に人気の航路となっている。とくに注目されているのが、「南極のガラパゴス」とも呼ばれるサウスジョージア諸島とフォークランド諸島を巡るルートであるが、この航路はシーズン中わずか2〜3本しかない。最寄りの南米大陸から2000キロも離れているサウスジョージア諸島まで足を延ばすとなると、燃油代や日数も増えるため、多く設定することが困難なのである。

しかし、それでも注目されているのは、この航路でなければ目にすることができない魅力があるからだ。

サウスジョージア諸島ゴールド・ハーバーの王様ペンギン。

サウスジョージア諸島ゴールド・ハーバーの王様ペンギン。

冬にはマイナス30〜40度にもなるサウスジョージア諸島は、砂漠同様に乾燥していることが特徴だ。陸地は4000メートルにもおよぶ氷床なので、植物はほぼ皆無。栄養分が少なく、痩せた土地なのである。

しかし感動的なのは、そんな中でも、生命がしっかりと息づいていることだ。貧弱な陸上の生物相に対し、海洋域のそれは実に豊か。生息する動物たちは、強い生命力を持っているのである。

大陸を循環するようにめぐる海流は、サウスジョージア諸島海域で異なる海流とぶつかる。その際に数万年にわたり氷に閉じ込められていた栄養塩が溶け出し、特に夏には多くのプランクトンが発生する。

これをナンキョクオキアミ(エビに似た甲殻類)が食べて増殖するため、それを求めて小魚、中型魚、海鳥、アザラシ、ペンギン、そしてクジラなどの大型哺乳類が集まってくるのである。この甲殻類を食糧源にしている生物は、とても多いのだ。

アザラシ。

アザラシ。

そしてこのエリアで出会えるのが、亜種も含めると世界に18種いるペンギンのなかで2番目に大きいという「王様ペンギン」だ。その体長は、実に90センチ。実際に目にすれば、迫力の大きさだ。

王様ペンギン。

王様ペンギン。

「皇帝ペンギンの最大の営巣地へ行くには、南極大陸のキャンプ地から航空機を利用しなければなりません。また、卵を産む時期も他の種類とは違って冬になります。つまり、船を利用して見ることのできる最大のペンギンが、この王様ペンギンなのです」

そう語るのは、ワールド航空サービスの松﨑浩さん。松崎さんは、サウスジョージア諸島を筆頭に、南極の海域を26日間かけてめぐるツアーを企画した。

同ツアーは、サウスジョージア諸島から、フォークランド諸島へと向かう。フォークランド諸島は、東フォークランドと西フォークランドの2つの島、そして200前後の島々で形成されている。南米アルゼンチン沖500キロに位置し、空路の場合は週に1便しかなく不便。宿泊施設も限られているため、これらの島々に上陸するには船を利用するのが一番なのである。

捕鯨やアザラシ漁が盛んだった首都スタンリーを中心とする東フォークランドは、もともと羊毛の生産が盛んな地。諸島全体でも人口はわずか2000人強だ。これら大小の島々に約70万等の羊が飼育され、600万羽以上のペンギンが文明から離れて生息している。人口の70パーセントが住む首都よりも、ペンギンのほうがはるかに多いのだ。

また同ツアーでは、人気の高い南極半島にも立ち寄るという。天候によって帰港地は変わるものの、パラダイス湾やネコハーバー、デセプション島など、南極のハイライトを網羅しているのだ。

ネコハーバー。

ネコハーバー。

南極半島の入り組んだフィヨルドや、氷が織りなす地形には、亜南極のサウスジョージア諸島とはまた違う魅力がある。ひとことで南極といっても、多様な表情があることがわかるに違いない。

ネコハーバー。

ネコハーバー。

26日間の南極の旅は、こののちフォークランドに立ち寄って、南米大陸へと至り、ラプラタ河を遡り、ウルグアイの首都モンテビデオで終了する。およそ1ヶ月の長旅だ。想像してみただけでも壮大な話だが、魅力はそれだけではない。船会社と直接交渉し、一般的な市場価格より80〜100万円も格安で行けるというのだ。

南極圏を巡る壮大な船旅は、一生に一度の感動を与えてくれることだろう。

【南極ツアーについてのお問い合わせ】
ワールド航空サービス
http://www.wastours.jp
電話/03-3501-4155(クルーズ担当直通)

文/印南敦史