書斎での鉛筆削りから、野外での力作業までこなせるよう、峰はやや厚みを持たせてある。両刃。切っ先は安全性を考えたドロップ型。鞘は柿渋仕上げの桜材。武骨な黒造りだが、刃を押さえる突起「チキリ」の先に真鍮のワンポイントが溶接されるなど、小粋な隠し技も。

書斎での鉛筆削りから、野外での力作業までこなせるよう、峰はやや厚みを持たせてある。両刃。切っ先は安全性を考えたドロップ型。鞘は柿渋仕上げの桜材。武骨な黒造りだが、刃を押さえる突起「チキリ」の先に真鍮のワンポイントが溶接されるなど、小粋な隠し技も。

東京手仕事に参加する「正次郎鋏刃物工芸」は、ラシャ切り鋏の名人として知られた初代長太郎の次男、石塚正次郎が興した工房。

高度経済成長期、何かと手狭な東京都内から、千葉県成田市の静かな農村部へ居を移した。昭和50年代に入ると、ラシャ切り鋏の需要は急減。若い女性が裁縫をしなくなったのだ。「嘆く前に動け」。2代目を継いだ洋一郎さんは、包丁や小刀にも製品の幅を広げ、江戸由来の鍛造技術を守ってきた。

正次郎の銘である「亀甲に蝶」が刻印される。『サライ』でしか入手できない特別版だ。

正次郎の銘である「亀甲に蝶」が刻印される。『サライ』でしか入手できない特別版だ。

「鋏も小刀も作り方の基本は同じ。ただ、切れる原理は違います。鋏は2本の刃が擦り合ったときの力で。小刀は1本の刃そのものが持つ切削能力で切れ味が決まります。どちらも難しい技術ですよ」
こう語るのは、3代目の石塚祥次朗さん(48歳)だ。そんな石塚親子が、『サライ』のために鍛えてくれた小刀が、桜の木の鞘に収まった折り畳み式小刀である。

その名は『江戸守』。和魂洋才の子供用ナイフとして戦前から名高い肥後守に想を借りたものだ。軟らかい地鉄に硬い鋼を挟み、赤めて鎚で打ち延ばす、昔ながらの自由鍛造。焼き入れの前には焼き入れ時の温度ムラを防ぐ砥の粉を丹念に塗るなど、江戸・東京伝統の技法が凝縮されている。

刃物の切れ味を左右する焼き入れの工程。貴重な技術継承者であることから、正次郎は東京都と千葉県から伝統工芸の指定を受けている。

刃物の切れ味を左右する焼き入れの工程。貴重な技術継承者であることから、正次郎は東京都と千葉県から伝統工芸の指定を受けている。

商品名/サライ・オリジナル 江戸守
メーカー名/正次郎鋏刃物工芸
価 格(消費税8%込み)/15,120円

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