【にゃんこサライ 第8回】
群れない、自由、単独行動…「猫は社会性に欠ける動物」は大間違い

空前の猫ブームといわれる昨今。でも、猫の生活や行動パターンについては、意外と知られていないことが多いようです。人間や犬の行動に当てはめて考えて、まったく違う解釈をしてしまっていることも少なくありません。昔から猫を飼っているから猫の性格や習性を熟知していると思っていても、じつは勘違いしていたということが結構あるようです。

そこで、動物行動学の専門医・入交眞巳先生(日本獣医師生命科学大学)にお話を伺いながら、猫との暮らしで目の当たりにする行動や習性について、専門的な研究に基づいた猫の真相を解明していきたいと思います。

■イエネコ誕生の歴史

猫は群れを作らない動物だから社会性はなく、単独で生きる、という解説をよく耳にします。じつは、これは大間違い。猫も私たち人間同様、他の仲間たちとうまくやっていける社会性のある動物なのです。

猫の社会性について話をする前に、まずはイエネコ誕生の歴史を見てみましょう。

ネズミなどから穀物などを守るために、人間によってヤマネコを家畜化したのが猫(イエネコ)です。イエネコの祖先は主にリビアヤマネコやヨーロッパヤマネコなど、様々なヤマネコたちが遺伝的に関係するといわれています。

ヤマネコたちの多くは、単独性の動物のため、テリトリー(縄張り)をはっきりさせ、自分のテリトリーには他のヤマネコを入れさせません。それはつまり、集団生活はしない、できないということを意味します。雄が雌のところに通う「通い婚」で、子猫が生まれると雌は子猫をがっちりガード。子猫の父親ですら自分のテリトリーには入って欲しくないのです。

行動学的観点からすると、リビアヤマネコのほか、一部ではありますが、ヨーロッパヤマネコの行動もイエネコの行動の中に見られます。リビアヤマネコにもヨーロッパヤマネコにも、それぞれテリトリーはあるのですが、ヨーロッパヤマネコが子育て中に他のネコを受け入れたという事例があり、イエネコにもその行動が継承されているふしがあるのです。

子煩悩お母さん猫のにがりちゃん。自らお腹を痛めて産んだ子猫たちと一緒に、他の母猫が産んだアジアも一緒に子育てしてくれました。ありがとう、にがりちゃん。

わさびちゃんち(記事の最後に解説あり)の猫たち。子煩悩なお母さん猫のにがりちゃん。自らお腹を痛めて産んだ子猫たちと一緒に、他の母猫が産んだアジアも一緒に子育てしてくれました。

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