国立劇場の舞台裏をみんなで拝見!サライ読者と行く「歌舞伎鑑賞とバックステージツアー」を開催しました

文/小坂真吾(『サライ』編集長)

皆さんこんにちは。『サライ』編集長の小坂です。去る1月24日、東京・三宅坂の国立劇場にて、読者招待イベントを開催しました。今回はその模様を紹介いたします。

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写真提供/国立劇場

ご存じ国立劇場は、昭和41年(1966)の開場。昨年50周年を迎え、10月から今年3月までの半年間、「50周年記念公演」と冠して、素晴らしいプログラムが組まれています。

この50周年にあたって、『サライ』は国立劇場とタイアップさせていただいており、その一環として、読者招待イベントが実現したというわけです。

その内容は、読者30名様を、1月の歌舞伎公演『しらぬい譚(ものがたり)』にご招待し、公演終了後に劇場の舞台裏(バックステージ)を見て回る、というもの。参加者は『サライ』誌面で募集し、多数の応募のなかから抽選させていただきました。

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『しらぬい譚(ものがたり)』は、幕末から明治にかけて36年間書き継がれた長編小説『白縫譚』を歌舞伎に仕立てたもので、国立劇場ではじつに40年ぶりの上演なのだそうです。私も観るのは初めてですし、あらすじもほとんど知らず観劇に臨みましたが、いやはや面白いのなんの!

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写真提供/国立劇場

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写真提供/国立劇場

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写真提供/国立劇場

宙乗りがあり、スモークが焚かれ、猫集団のダンスがあり、映画『スターウォーズ』のパロディがあり、とどめは役者がピコ太郎に扮してPPAPの替え歌があり。(ちなみに、私たちが観劇した前日には、ホンモノのピコ太郎が登場したそうです。ご本人のたっての希望だったとか)

面白いものは何でも取り入れるという、歌舞伎が本来もっている貪欲なパワーを、あらためて見せつけられました。

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写真提供/国立劇場

さらにいえばこのパワーは、江戸の町人たちのパワーでもあったと思います。いま、日本美術が、とくに「奇想」というキーワードで脚光を浴びていますが、北斎の「大浪」も国芳の「武者絵」も、こうしたエネルギーの沸騰から生まれてきたのではないかと、私の中で、北斎・国芳と歌舞伎がつながった瞬間でした。

もちろん、ご招待の読者の皆さんも、とても楽しんでおられました。

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さて、公演終了後はいよいよバックステージツアーです。

まず花道を歩いて本舞台へ上がり、床を円形に切った廻り舞台(盆)の上に。盆の直径は約20m。乗ったままぐるりと1周回していただきましたが、かなりのスピードでつい足を踏ん張ってしまいました。

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盆(廻り舞台)に乗ってぐるりと一周。すごいのは、一周して元の位置に寸分のズレなく止まること。これがズレると、舞台装置全体がズレて芝居にならないそうです。左で手を広げているのが私。

舞台の上を見上げると、照明や幕など、おびただしい数の舞台装置が吊してあります。場面展開の際は、この幕を一瞬で落として舞台を覆うのです。

その後、階段を降りていわゆる「奈落」へ。国立劇場OBの方にご案内いただいたのですが、この方のお話がとても面白く、あっという間の1時間でした。そして、華やかな舞台の陰で、いわゆる「裏方」さんの働きがいかに大切かもよくわかりました。

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国立劇場の50年は、たんに歌舞伎を上演し続けたというだけでなく、裏方さんを育て、技術を継承したという意味でも、とても意義深いと思います。

参加いただいた読者の皆様もご満足の様子でしたが、何より私自身が大満足。この仕事をしていて良かったと心から思える、幸せな1日でした。

*  *  *

国立劇場50周年記念公演は、3月まで続きます。2月は文楽公演で「近松名作集」(4日~20日上演)。なかでも『曽根崎心中』は絶対観るぞ、と思いながらチケットを買いそびれ、その間にほぼ完売してしまいましたが、バックステージツアー解散後、国立劇場のチケットセンターへ駆け込むと「さっき、キャンセルが出ました」とのこと。首尾よく1等席を購入できました。

「日本語で書かれたもっとも美しいテキスト」と、私が勝手に思っている近松門左衛門の名作。あとは、公演日にのっぴきならない仕事が入らないことを、祈るばかりです。

文/小坂真吾(『サライ』編集長)
撮影/矢口和也
協力・写真提供/国立劇場

※ 国立劇場50周年記念サイトもぜひご覧ください。
↓↓↓
https://www.ntj.jac.go.jp/50th/