「空前の猫ブーム」といわれる今だからこそ、外で過酷な生活を送る野良猫たちの「猫生」にも思いを馳せて欲しい――。年々減ってきているとはいえ、まだまだたくさんの猫たちが「殺処分」という悲しい最期を迎えなければならない状況にいます。

保護されることも、家族に迎えられることもなければ、名前もなく、人知れずこの世からいなくなっていく小さな命たち。「全てのにゃんこに幸せを」のメッセージを送る『ありがとう!わさびちゃん』のツイッターアカウントでは、新たな家族に保護された「保護猫」の名前の由来を募集しました。

今回は、応募頂いた保護猫たちのエピソードの第3弾です。(第1弾はこちら、第2弾はこちら

■葉月(推定7歳、メス)、紫苑(推定5歳、メス)

しーちゃんこと紫苑(左)とはーちゃんこと葉月の八割れシスターズ。

しーちゃんこと紫苑(左)とはーちゃんこと葉月の八割れシスターズ。

白黒バイカラーの葉月(はづき)、愛称「はーちゃん」は、7年前、当時勤めていた園芸店で保護しました。

園芸店のプラスティック製の鉢が並ぶ棚の奥の方で、子猫の鳴き声が。生後1か月くらいの子猫が2匹鳴いているのを見つけました。

よくよく探してみると、他の場所にも2匹。お母さん猫がどこからか運んできたのでしょうか。でも、お母さん猫の姿は見当たらなかったため、猫好きの店長が計4匹の子猫を保護してくれました。

子猫の飼い主さんを探すことになり、私も名乗りをあげました。すぐに主人と娘たちに子猫の画像をメールして、「飼ってもいい?」と聞きましたが、家族の返信も待たず、「連れて帰ります」と送信、そのまま子猫をお迎えしたのです。保護したのは8月だったため、8月の別称である葉月と名付けました。

はーちゃんを保護した2年後のことです。やはり同じ園芸店でもう1匹の子猫を保護しました。初めて見た時には既に生後半年くらいの大きさだったと思います。どこからともなくやってきて、居ついてしまったサバトラの子猫でした。

当時、園芸店には看板猫がいました。はーちゃんを保護した1年前に、店長が保護して店で飼っていたのですが、その子猫は店の看板猫のご飯を分けてもらったり、一緒に遊んだりしていました。

12月も後半になると、子猫のご飯をどうするかが、店員たちの間で話題になりました。お店が年末年始にお休みし、店長も看板猫を家に連れて行くため、子猫にご飯をあげられなくなってしまうと、みんなで悩んでいました。

看板猫にはよくなついていましたが、人にはまだ警戒心を持っている様子だった子猫。保護するのは難しいかもしれない、と思っていました。下手に捕まえようとして、逃げてしまってもう戻ってこなかったら、子猫の居場所がなくなってしまったら、と思うと、心配だったのです。

でも、子猫は徐々に慣れてきたのか、事務所の中にそろーり、そろりと入ってくるようになりました。それで、「もし年末までに保護できたら、私が連れ帰ります!」と宣言。いよいよ年の瀬も迫る12月29日のこと。その日も子猫が事務所に入ってきたところを、みんなで捕獲することができました。

園芸店のみんなからは、「はーちゃんが8月保護で葉月だから、その流れからこの子猫は師走(しわす)やろ」といわれていたのですが、子猫の名前に師走ってなんか違う、と思ってしまいました。でも、「しーちゃん」という呼び方はいいなと思っていたので、音からの連想で考えて、花の名前でもある「紫苑(しおん)」と名付けました。人慣れするのにちょっと時間のかかったしーちゃんは、今も抱っこが苦手の怖がり屋さんです。

(ツイッターアカウント名:悟空@karin_yu)

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