これは何と読むでしょう?「漢字」は自由に楽しめるオトナの知的遊具【大人のための発想術 第1回】

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見慣れないこの漢字、一体なんと読むか、おわかりだろうか?

答えは「自己中」。一見、自由がすぎるから?と目を凝らすと……自の中に「中」がある!

じつはこれ、漢字学の泰斗・白川静博士を記念して2010年から毎年開催されている「創作漢字コンテスト」(主催:産経新聞社、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)の、昨年行われた第7回での最優秀賞だ。

オリジナルの漢字を作るというのは、なかなかよい頭の体操になるが、こういう漢字の遊び心を、白川博士も愛していた。

白川博士は既存の学説に異を唱え、独自の呪術的解釈を漢字研究に持ち込んだ。「工」を「神をよび降ろす呪具」と見なし、「口」を「祝詞を収めた器=サイ」だと唱えた。漢の一字、一画は神が宿る依代づくりのプロセスだというのだ。

漢字は現代も使われ続けている文字の中で最も古くに成立し、数が最も多く、10万字を超えるとか。ただ、ほとんどの文字は歴史的文献の中で見られるだけで、難関とされる漢字検定1級レベルでも、約6000字も理解できていればいい。準1級ならその半分。

さらに、古代から大変な受容力を持ってきた日本人は、峠・糀・畑・働・鱈など、わかりやすく美しい独自の「国字」も作り出し、また、漢字を分解したり崩すことで、固有の表音文字である片仮名と平仮名すら編み出したわけだ。

だから漢字検定も、創作漢字も、その漢字を発案した古代人の心境にまで思いを馳せれば、かなり日本人むきの高度な知的遊戯と言える。

そもそも漢検1級の合格者にはシニア世代が多いと聞く。常用外の漢字もある程度使いこなしてきたからだろう。

相変わらずブームが続く大人の漢字学習。その由来を調べたり、創作漢字を作るなど、じつは漢字はサライ世代の頭の体操にも打ってつけな「知的玩具」と言えそうだ。

監修/前刀禎明
文・構成/鈴木隆祐

【参考図書】
『とらわれない発想法 あなたの中に眠っているアイデアが目を覚ます』
(前刀禎明・著、鈴木隆祐・監修、本体1600円+税、日本実業出版社)
http://www.njg.co.jp/book/9784534054609/

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