「色絵金彩ティーセット」(キュバッシュ文)〔1864年以降 個人蔵〕

「色絵金彩ティーセット」(キュバッシュ文)〔1864年以降 個人蔵〕

ヨーロッパの王侯貴族御用達でもあるハンガリーの名窯「ヘレンド窯」の作品が並ぶ洋食器の展覧会が、愛知県瀬戸市の愛知県陶磁美術館で開催されています。(~3月26日)

ナポレオン戦争が終わってヨーロッパ全土に平和が戻り、さまざまな産業が各地に興った頃、ハンガリーの首都ブダペストの南西120kmほどにあるヘレンド村で、ヴィンツェンツ・シュティングルが窯を開いて食器製作を始めました。

産業革命の到来で、機械で大量生産することが良しとされた時代にあって、手仕事にこだわり、匠の技を大切にしたヘレンド窯は、長くヨーロッパの王侯貴族に愛されてきました。

本展は、現在も匠の技を保ちつづけるヘレンド窯の名品を集めて、その歴史と魅力を探ります。

「色絵金彩虎図透彫脚付果物鉢」〔1870年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵〕

「色絵金彩虎図透彫脚付果物鉢」〔1870年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵〕

本展の見どころを、愛知県陶磁美術館学芸課の長久智子さんにうかがいました。

「ハンガリーの静かな村で1826年に開窯したヘレンド窯は、繊細な絵付け技術によってオーストリア帝国・ハンガリー王国御用窯として認められ、顧客名簿にはハプスブルク家の皇帝フランツ=ヨーゼフ、皇妃エリザベート、大英帝国のヴィクトリア女王はじめ王侯貴族が名を連ねました。

その後戦争の時代を挟みながらもヨーロッパを代表する磁器窯のひとつとして高い名声を得つづけています。

本展で展示しているのは、ブダペスト国立工芸美術館、ハンガリー国立博物館、ヘレンド磁器美術館、およびハンガリー国内の個人所蔵家の方々からの貴重な作品151件(233点)で、それぞれの時代の代表作や、東洋陶磁に影響を受けた作品の数々が一堂に会します。

17年ぶりに日本で開催される本格的な展示で、ハンガリーが誇る名窯の輝かしい190年のあゆみをご覧いただけます」

繊細にして華麗な洋食器の精華を、ぜひ会場でご堪能ください。

【ヘレンド―皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯―】
■会期/2017年1月7日(土)~3月26日(日)
■会場/愛知県陶磁美術館
■住所/愛知県瀬戸市南山口町234
■電話番号/0561・84・7474
■料金/一般900(720)円 高大生700(560)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※中学生以下無料、身体障がい者手帳所持者と付添者は割引あり
■開館時間/9時30分から16時30分まで(入館は16時まで)、1月7日は11時より観覧できます
■休館日/月曜日(ただし1月9日、3月20日は開館)、1月10日(火)、3月21日(火)
■アクセス/地下鉄東山線終点「藤が丘」駅よりリニモ八草行きで「陶磁資料館南」下車徒歩600m、愛知環状鉄道「八草」駅よりリニモ藤が丘行きで「陶磁資料館南」下車徒歩600m

取材・文/池田充枝
1989年「サライ」の創刊時より歴史資料の調査や展覧会情報を中心にフリーランスで「サライ」の取材・執筆に携る。

 

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