感情の爆発を抑止!「ここ一番」で冷静さを取り戻せるマインドフルネス瞑想法

Senior couple meditating on exercise mat

たとえ今、人生が安定している時期であったとしても、それがずっと続く保証はありません。プライベートも含めて永遠に人生が平穏で安泰という人は誰ひとりとしていません。

あなたにも経験があると思いますが、思いもかけないところから晴天の霹靂のごとく大きなストレスがやってくることもありますよね。不意にショッキングな出来事を知らされたり、想定外のひどい言葉や態度をとられたり……。

そんなときには、人は頭が真っ白になり、目の前のことに集中できなくなるものです。また思考が頭の中でぐるぐると堂々巡りをする混乱状態に陥ったり、カーッと怒りに駆られて我を忘れそうになることもあることでしょう。

今回は、このような状態から脱するための「マインドフルネス瞑想法」をご紹介します。

このシリーズでお伝えしているマインドフルネス瞑想法は、すべて2500年前にブッダが説いた「人生の苦を滅し心安らかに生きるための方法」が源となっています。マインドフルネス瞑想法には、「呼吸の瞑想」「食べる瞑想」など様々な瞑想方法がありますが、今回はそのなかから「ボディスキャン瞑想」と「慈悲の瞑想」(簡易バージョン)をお伝えします。

■やってみよう!「ボディスキャン&慈悲の瞑想」の方法

(1)まず椅子にゆったり腰かけて、背もたれにもたれず背筋を伸ばして座ります。両足はしっかりと地面につけて安定させます。

(2)目を閉じて大きくお腹をふくらませて腹式呼吸をゆっくり3~5回繰り返します。

(3)まず「私が健やかで危険がなく心安らかに幸せでありますように」を心の中で味わいながらゆっくりと唱えます。口に出せる環境なら声に出してもかまいません。

これはマインドフルネス瞑想法のなかの「慈悲の瞑想」と呼ばれる瞑想法のワンフレーズで、原始仏教では唱えるだけで心を落ち着ける大きな効果があるとされています。

(4)目を閉じて静かな呼吸を心がけながら、ボディスキャン瞑想をしていきます。ボディスキャン瞑想とは、体の中に生じている感覚をじっくりと「心の目」でチェックしながら感じていく瞑想法です。

私たちの体の中には、一瞬一瞬、様々な感覚が生じています。ですが私たちは目の前の思考や行動に意識がとらわれているため、その感覚に気づくことなく生きているのです。

まず頭の中から首、両肩、背中、胸、心臓や胃のあたり、下腹部といった流れで、できるだけゆっくりと、順々に体の内部を点検するつもりで心の目で眺めていきましょう。

(5)たとえば頭皮には髪の毛が微風に揺れている感覚を感じたり、鼻や耳にはかすかな痒みを感じたりするかもしれません。口の中をスキャンしたら舌が歯に触れている感覚や唾液が貯まっている感覚があるでしょう。

(6)さて大きなストレスを感じているときには、体の中にも不快な感覚が生じていることがほとんどです。たとえば「胸の奥に大きな冷たい塊がある」とか「心臓が苦しいほどバクバクしている」とか「頭の芯を強い力でつねられているような痛みを感じる」などです。

(7)こうした不快な感覚の場所を見つけたら、呼吸によって新鮮な空気を送り込むイメージを描いてみましょう。実際に鼻から吸い込んだ息が、その部位に流れ込んでいく感じをイメージします。

(8)その不快な部分に「ゆっくりと息を送りこんで吐き出す」というイメージを描きながら、何回か静かな深い呼吸を繰り返します。

(9)不快な感覚が少し楽になったら、またボディスキャン瞑想を時間が許す限り続けましょう。

(10)心が落ち着いてきたら、静かに目を開けます。そして再び慈悲の瞑想「私が健やかで危険がなく心安らかに幸せでありますように」を唱えましょう。

以上、ボディスキャン&慈悲の瞑想の方法をご紹介しました。突然のストレスに襲われて、心が悲しみや怒り、絶望で覆われたら、この瞑想を繰り返してください。

大きなストレスによって、未来への心配・不安や怒り、過去への後悔、自己嫌悪などの気持ちがあふれだし「心ここに非ず」になっている精神状態を落ち着かせる効果が期待できます。そして心を「今ここ」に取り戻すことができるようになってきます。

大きなストレスに飲み込まれてしまうと、目の前の大切な仕事や人間関係がおろそかになってしまい、さらに新たなストレスが連鎖的に発生しやすくなります。

まずは心を出来る限り穏やかに整え、「目の前の本当にすべきこと」「大切にするべき人々」に向き合うことが大切です。

大きなストレスによって誘発される強烈な感情に飲みこまれにくくなるこの瞑想法、ぜひ実践してみてください。

監修・構成/奥田弘美
取材・文/庄司真紀

指導/奥田弘美(おくだ ひろみ)
精神科医(精神保健指定医)、日本医師会認定産業医、作家
1992年山口大学医学部卒業。精神科医、産業医として日々多数のビジネスパーソンの心身のケアに関わっているなかで、マインドフルネス瞑想がストレスケアに大きな効果を持つことに気づく。有志とともに日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想法を研究しつつ、執筆、セミナーを通じてわかりやすい実践法を伝えている。最新刊は「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネージメントセンター)。

【参考図書】
『1分間どこでもマインドフルネス』
(奥田弘美・著、本体1,400円+税、日本能率協会マネジメントセンター)

51nNBErRRIL