味噌選びは「塩」選び!塩分摂取を抑えて美味しく仕上げる発酵調味料の知恵【エピキュール藤春シェフのケアリングフード講座 第5回】

fujiharu_top

塩分は控えなければならないというのに、味噌など塩をたっぷり使った発酵調味料は体にいいと推奨されています。矛盾していることのように思われますが、どちらかが間違っているのでしょうか?

「どちらかが間違っているというわけではありません。塩分を控えなくてはいけないのではなく、体に取り入れた塩分をしっかり排出してくれるように、ミネラルやカリウムと一緒に摂ることが大事です。だから、ミネラルやカリウムがしっかり入っている天然塩が使われた発酵食品を選ぶことが重要になってきます」(藤春シェフ)

東京・元麻布のレストラン『エピキュール』の藤春幸治(ふじはる・こうじ)シェフが自身の提唱する“体に良くて、しかも美味しい”「ケアリングフード」の考え方に基づき、こう教えてくれました。

『サライ.jp』で連載している藤春シェフによる特別レクチャー。最終回となる今回のテーマは「塩分と発酵調味料」です。

■「減塩味噌」の意外な落とし穴

味噌は大豆に塩と麹を混ぜて発酵させて作ります。基本的に、塩がなければ味噌は発酵しません。つまり、体に良いとされる減塩味噌は大豆が十分発酵していない可能性があります。

味噌の旨みは、大豆のたんぱく質が発酵により分解されて出来たアミノ酸によるものです。発酵が十分でないとすれば、あの旨みはどうやって出しているのでしょう? じつは減塩味噌の多くは、人工調味料や化学調味料で旨みを補てんして、いかにも味噌らしくしているのです。

だから、前述した通り、味噌を選ぶ際は減塩かどうかではなく、体に摂り入れた塩分を体外にしっかり排出してくれるように、ミネラルとカリウム含む天然塩を使ってきちんと発酵させて作っているかどうかを確認することが大切です。

市場に多く出回っている塩には、ミネラルとカリウムがほとんど含まれていない「精製塩」が多く、味噌にも多く使われています。塩分を意識される方はトレサビリティ(生産過程の追跡可能性)を確認し、天然塩が使われた味噌を選んでいただくことをおすすめします。

■自宅で簡単にできる発酵調味料「花麹」の作り方

安心・安全な発酵調味料は、自分で作るのが一番です。しかし、味噌や醤油を作るのは手間も時間もかかって大変です。そこで、ここでは20分で簡単に仕込める「花麹」の作り方をご紹介しましょう。

材料は、大麦や大豆を原料とする乾燥麹『ひしおの糀(はな)』(名刀味噌本舗)1袋(550g)、お醤油600cc、水300ccのみです。

すべての材料を混ぜ合わせて、ガラスや陶器などの保存容器に入れて常温で発酵させ、毎日1回混ぜて約2週間で完成です。発酵に最適な温度は30度前後ですので、冬季に作るときはなるべく暖かい場所に置いてください。

でき上がった「花麹」は、ご飯にのせたり、お野菜につけたりして美味しくお召し上がりいただけます。また、お肉やお魚、お野菜を漬け込むのもおすすめです。活きた酵母や酵素、乳酸菌などの力で、たんぱく質を分解して旨味に変え、素材を柔らかくしてくれます。

花麹に限らず、発酵調味料の旨み成分を上手に活用すれば、塩分を抑えても料理は美味しく仕上がります。塩分の取り過ぎが気になる方は、ぜひ取り入れてみてください。

また、塩分を排出するカリウムを含む食材を積極的に摂るのもよいでしょう。おすすめは「あかもく」という海藻です。カリウムとミネラルが豊富なうえ、食物繊維やポリフェノールも入っていて、最近、注目を集めています。

*  *  *

以上、5回にわたってお送りしてきた、エピキュール・藤春シェフのケアリングフード講座。いかがでしたか?

「美味しい」と「健康にいい」とは、相反することのように思われがちですが、藤春シェフのこのケアリングフードの考え方や技法を用いれば、家庭でも実現可能なのです。

今後、2020年に東京オリンピックを控え、日本の食文化はさらに多様化することでしょう。また、加齢に伴い、誰もが否応なく食事へ配慮しなければならなくなってきます。

「食事制限をしなければ」と考えると、日々憂鬱ですが、美味しく食べて健康を目指せるのなら、毎日が楽しくなりますね。

食べることは生きること。楽しく生きるために、ぜひ家庭食にもケアリングフードの考え方を取り入れてみませんか?

RISE2581

【藤春幸治シェフ プロフィール】
東京・元麻布「エピキュール」オーナーシェフ。日本における「ケアリングフード」の創案者。フレンチやイタリアンのレストラン、有名外資系ホテル、海外にて研鑽を積み、2014年にケアリングフードを提供するレストラン『エピキュール』をオープン。医師やトップアスリート、芸能人などからも支持を集めており、糖尿病や癌の患者など、様々な人への食事サポートの実績をもつ。著書に『あなたのカラダが21日で変わる「ケアリングフード」レシピ』(講談社)がある。家庭の食卓でも手軽にケアリングフードを取り入れられる冷凍食品『ヒルズ・エピキュール』の監修にも携わっている。

取材・文/小野寺佑子

【エピキュール藤春シェフのケアリングフード講座】
※ 常識を覆す美味なる健康食!「ケアリングフード」とはいったい何か【第1回】

※ お米は悪者じゃない!知っておきたい糖質コントロールの極意【第2回】

※ 知っておきたい!「食用油」の上手な摂り方・使い方の秘訣【第3回】

※ ロコモやサルコペニア対策にも!ケアリングフード的「たんぱく質の上手な摂り方」とは?【第4回】

※ 味噌選びは「塩」選び!塩分摂取を抑えて美味しく仕上げる発酵調味料の知恵【第5回】

【お知らせ】藤春シェフが自ら「ケアリングフード」の考えを語る料理サロン&試食会が開催されます。詳しくは下記記事をご覧ください。
http://serai.jp/gourmet/120275