冬トリュフを添えた自家製タリオリーニ。

冬の黒トリュフを添えた自家製タリオリーニ。

「鄙(ひな)にも稀(まれ)な」と形容するのは失礼かもしれませんが、そう呼びたくなるほどに個性的で魅力的なイタリア料理店が、山口県宇部市内にあります。

店の名は『Cannista』。看板にはカタカナ表記がありません。トリノで料理修業をしてきたシェフに伺うと、「カンニスタ」と呼び、時間を見つけては海に出かける「釣り人」の意味があるそうです。店名の付け方からして、とてもユニークですね。

(ネーミングが粋すぎて、イタリア料理店であることすらわからない人がいるのではないかしらん、と余計な心配をしてしまいます)

メニューを見て、びっくり! 冬が旬の「黒トリュフ」を使った自家製のパスタ料理が載っていたからです。

数年前から、日本の真夏の時季に南半球のオーストラリアから冬の黒トリュフが輸入されるようになりました。サマートリュフと呼ばれる香りの乏しいトリュフより、断然香り高い一品です。でも、それを知っている食いしん坊は東京でも多くはありません。

訊けば、やはり「オーストラリア産」とのこと。早速、それを注文しました。

収穫されてからやや時間が経っていたため、強烈な香りこそありませんでしたが、味わいは十分でした。この挑戦する姿勢が素敵です。

『Cannista』のような店が宇部で評価されるためにも、まずは食いしん坊が通って、評判を高めていく必要があります。東京にいる私がぜひとも応援したくなる、新進のイタリア料理店です。

シェフは写真右の方です。

『Cannista』眞田秀男シェフ(右)と筆者(中央)

【Cannista】
住所/山口県宇部市南小串1-16
TEL/ 0836-32-9920
営業時間/ランチ11:30~13:30 (火~金曜は完全予約制) ディナー 18:00~24:00
定休日/月曜日
http://cannista.com/

文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。

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