_DSC6773_s

冷蔵庫がなかった時代、野菜や肉などの食材は塩漬けして日持ちさせていた。塩漬けにすることで保存性が高まるうえ、素材の持ち味をより引き出すこともできる優れた調理法である。

古来、中国や台湾などでは、主にアヒルの卵を塩水に漬け込んだ鹹蛋(しえんたん)と呼ばれる保存食が、粥などの家庭料理の食材に使われている。

そこで、鶏卵を塩水に漬け込み、その卵をご飯の上にのせて味わう「塩玉子飯」を作ってみたい。

作り方はいたって簡単。密閉できる容器に塩水と生卵を殻のまま入れて1か月ほど漬け込むと、塩漬け卵ができあがる。殻を割って黄身を取り出し、熱々のご飯にのせれば完成だ。

卵を塩漬けにすると、黄身は塩の浸透圧作用により水分が引き出されてぎゅっと締まり、見た目はぷっくりと盛り上がる。味は塩分がほどよく染みて、凝縮した黄身の味わいがきわ立ち、醤油を使わずとも美味しくいただける。

一方、白身は見た目に大きな変化はないが、塩気がかなり強くなるので、好みにより加減しながらご飯に加えてもいいだろう。

漬け込むのに日数を要するが、それを待つ間も楽しい一品である。

 

塩玉子飯の作り方

材料:左から卵10個(密閉容器に入るだけの個数)、水500㎖、塩150g(水に対して30%)、酒大 さじ1。

材料:左から卵10個(密閉容器に入るだけの個数)、水500㎖、塩150g(水に対して30%)、酒大さじ1。

①鍋に水、塩、酒を入れて火にかけ沸騰させる。塩が溶けたら火を止め、常温になるまで冷ます。

①鍋に水、塩、酒を入れて火にかけ沸騰させる。塩が溶けたら火を止め、常温になるまで冷ます。

②水洗いして水気を拭き取った卵を密閉容器に入れ、①を注いで蓋ふたをし、約1か月間、暗所に置く。

②水洗いして水気を拭き取った卵を密閉容器に入れ、①を注いで蓋ふたをし、約1か月間、暗所に置く。

③殻を割って黄身をご飯にのせれば塩玉子飯のできあがり。黄身は塩味がきいているので醤油を加えなくてもいい。塩玉子は塩水に漬けたまま、常温の暗所で3か月ほど保存がきく。

③殻を割って黄身をご飯にのせれば塩玉子飯のできあがり。黄身は塩味がきいているので醤油を加えなくてもいい。塩玉子は塩水に漬けたまま、常温の暗所で3か月ほど保存がきく。

お茶漬けにしても美味しい!

食べ方の一例として、塩玉子飯に熱いほうじ茶をかけ、お茶漬けにしても美味しい。黄身を崩してご飯と茶に混ぜ込みながら味わう。

食べ方の一例として、塩玉子飯に熱いほうじ茶をかけ、お茶漬けにしても美味しい。黄身を崩してご飯と茶に混ぜ込みながら味わおう。

取材・文/矢島裕紀彦
撮影/片山虎之助

(本記事はサライ2015年6月号に掲載されたものです)

【関連記事】

江戸後期の料理書を再現!「江戸前」極上玉子かけご飯の作り方

卵の達人が伝授!いつもの玉子かけご飯が「格段に旨くなる」ひと手間とは

池波正太郎も舌鼓!赤穂浪士が討ち入り前に食べた「玉子かけご飯」を再現

即試したい!沖縄伝統の「島野菜」を使った”手軽で滋養豊富”な琉球料理

えっポリ袋で簡単にパンがつくれる!? 話題の「ポリパン」講座に参加してみた

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
5月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店