【口福みやぎ丸 第6回】気仙沼のメカジキ――刺身でも火を通しても旨い、美しき桜色の身肉【PR】

宮城県は、海の幸の宝庫。複雑な段丘が、海岸線に大小の豊かな湾を形成する。船を走らせれば、世界有数の漁場である三陸沖は目の前だ。この豊饒の地に旬の食材と人を訪ねる。

「かじきまぐろ」と呼ばれることもあるが、本来かじきは、まぐろとまったく別な魚。桜色を帯びたその身は冬が深まるほどに脂を纏い、味わいに深みを増す。

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東日本大震災の巨大津波で壊滅的な被害を受けた気仙沼漁港は、みごとに復活を果たしていた。生鮮鰹の水揚げは、震災のあった2011年を含めて19年連続の日本一を保っているという。

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気仙沼にはもうひとつ日本一がある。大きなものでは体長3m、300㎏を超えるメカジキの水揚げ高だ。日本近海での主な漁場は三陸沖から伊豆諸島沖にかけて。気仙沼漁港に入荷するメカジキは、全国の流通量の約8割を占める。

主な漁獲方法は延縄で、表層を泳ぐことの多い夏は船上から銛を投げる突きん棒漁でも獲られる。

朝5時。接岸した船から運ばれたメカジキが市場の床に並べられ、目方を示す数字がチョークで魚体へ直接書き込まれていく。

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かじきといえば、長く鋭いくちばし(吻)、大きな背鰭と鎌形の尾鰭が特徴だが、これらは船上ですべて切り落とされる。船倉に詰めにくいことと、安全対策からだ。

「メカ(メカジキ)はおっかねえぞ。あの魚はくちばしを振って暴れっからな。俺が船に乗っていた頃はたまに腹や足を刺される者がいたよ。俺も一度、くちばしの先が顔をかすめて冷や汗をかいた。メカの延縄は命がけの漁だ。危ないから、引っ張りあげたらとにかく先に鋸でくちばしを落とすんだ」

船上の緊張を語ってくれたのは、高齢で船を降り今は魚市場の仕事をしているという男性作業員だ。

この日水揚げされたメカジキはおよそ300本。最大は180㎏だった。気仙沼漁港の売買は、競りではなく入札方式をとる。1本ずつ脂の乗りや魚質を確認し、眼鏡にかなった魚の希望単価を紙に書いて窓口へ出す。最高値を記入した買受人が落札できるしくみだ。

■極上の魚は水揚げ量の1%

まぐろ同様、基本的には脂のよく乗ったものほど人気で、値段が高くなる。当日最高価格のメカジキを落札したのは、この魚の取り扱いでは最大手の足利本店。社長の足利宗洋さん(45歳)は、メカジキという魚の魅力をこう語る。
「ほんのり桜色をした乳白色の身は、刺身にするととろけるような甘みと、なめらかな舌ざわりがあります。余韻も上品ですばらしい。そういう身は、西京漬けやバターソテーにしても絶品です。

ただ、メカジキは身質の個体差が激しい魚で、なかには蒟蒻かじきと呼ばれる身が少し固いものもあります。大事なのは吟味です。極上のメカジキは、一回の水揚げのなかでも1%くらいでしょうか。私が見たところ、今日は3本だけでした」

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足利宗洋さん

目利きによって選ばれたメカジキのなかでも、腹部の部分はまぐろのトロにひけをとらない旨さがある。メカトロの名で知られ、料理店では人気が高い。ただ、メカジキ自体は惣菜魚的な位置付けの魚で、首都圏のスーパーや小売店では主に加熱用として売られることが多いそうだ。

「これも個体によるのですが、血合部分の深い赤色が茶色く変わりやすいんです。血合はまぐろや鰹にもありますが、身自体が赤いので気になりません。メカジキの身は乳白色なので目立ちやすい。生食できる品質でも、見た目の印象から加熱用というラベルを貼られやすいのです」(足利社長)
メカジキは深海にも適応しており、マカジキやクロカワカジキよりも体脂肪が多い。一年中水揚げされるが、もっとも味がよくなる時期が10月から3月上旬だ。この頃は切った包丁に身が張り付くほど脂が乗り、味も濃厚になる。

地元気仙沼での定番の食べ方は鮮度のよさを生かした刺身だが、最近はしゃぶしゃぶも人気。豚肉が貴重だった時代、肉の代わりにカレーライスに使った家庭も少なくなかったことから、地域おこしの一環でメカジキ入りカレーを提供する店も増えてきた。

復興を果たしたといっても、被災地は経済を含めまだまだ多くの課題を抱える。現地を旅しておいしい海の幸を味わうことも、立派な応援である。/

気仙沼のメカジキを味わえる店

そんな気仙沼のメカジキを味わえるのが、宮城県気仙沼市にある『新富寿し』。名物のメカジキのしゃぶしゃぶ。1人前1800円(写真は2人前)。刺身や鮨種になるほど鮮度のよい身を薄く切り、鰹と昆布のだし汁にくぐらせる。「細切りの野菜と一緒に橙のポン酢につけ味わうと、いくらでも食べられます」(鈴木真和店長)

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【新富寿し】
■住所/宮城県気仙沼市東新城1-13-3
■電話/0226・23・7475
■営業時間/11時30分~14時、17時~21時
■定休日/月曜(不定休あり)
■アクセス/JR気仙沼駅より車で約5分。

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取材・文/鹿熊 勤 撮影/宮地 工

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